アップルが文化庁を激しく非難「私的録音補償金制度は即時撤廃を」。

2007/06/05 14:30 Written by コ○助

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CDやMDなどのメディアに変わり、急速に広がりを見せる「iPod」などの携帯音楽プレーヤー。この製品群に対し、日本音楽著作権協会や日本音楽事業者協会ら7団体が「私的録音録画補償金制度」を根拠に補償金を求め、文化庁が検討をしている「iPod課金」問題なりが、当事者であるアップルが文化庁を激しく非難する意見書を提出、その内容にネットの各所から賛辞が送られているなりよ。

話を進める前に、「私的録音録画補償金制度」とは何ぞや、という人もいると思うので簡単に説明を。現行の著作権法では、個人が楽曲や映像などを楽しむための「私的録音」や「私的録画」を認める代わりに、著作権者に対して補償金を支払う、というルールが定められているなり。これを「私的録音録画補償金制度」と呼ぶなりよ。消費者が個別に著作権者に補償金を支払うわけではなく、対象となる製品には予め補償金が上積みされた状態で販売されているため、あまり意識していない人も多いかもしれないなりね。

これまで「私的録音録画補償金制度」の対象とされてきたのは、CDやMD、DVDのほかにDAT(デジタルオーディオテープレコーダー)やDCC(デジタルコンパクトカセット)などで、「iPod」などのHDDやフラッシュメモリを搭載したプレーヤーは含まれていないのが現状。でも、「iPod」が台頭した今、日本音楽著作権協会(JASRAC)などの業界団体としてみれば、この制度の対象に「iPod」を組み込まなければ補償金の額が激減してしまう恐れがあるため、文化庁に強い要望を出しているなりね。その一方で、消費者や機器メーカーは補償金の分だけ製品が値上がりするというデメリットしかないため強硬に反発。こうした流れの中でのアップルの意見書、というわけなり。

アップルが意見書の中で述べているのはどのような内容なのか。一部抜粋しながら簡単にまとめておくなりね。

◎「知的財産推進計画2006」の見直しに関する意見(アップル)
・著作権者団体が常日頃主張している「私的複製により権利侵害を被っている」論には科学的かつ客観的な証拠は存在していない。
・同一家庭内において、購入した著作物と全く同じ著作物をさらに2枚、3枚と購入することは非現実的。音楽レーベル側もそれを事前に承知している(=黙示の承認)。
・黙示の承認があるにも関わらず、私的複製からさらに料金を徴収するのは二重課金にあたる。
・米国では著作物は販売した時点で「売り切り」であるとの考え方が定着、国際標準となっている。
・仮に私的複製により権利侵害を被ったと主張するなら、そのすべての原因は複製防止技術を備えていないレーベル側にある。自ら製造販売している製品の責任転嫁するのは無責任かつ自己中心的。
・補償金制度を携帯機器に対して導入しているのはわずか11か国(全体の6%)に過ぎない。国際基準に日本が合致するなら、約95%の国がとっている「補償金制度廃止」を選ぶべき。
・「iPod」等の携帯音楽プレーヤーが普及することが合法コンテンツ(iTunes Storeなど)の購入要因となっている。それゆえ、権利侵害の元凶とする意見は事実無根。むしろ「iPod」こそが有料かつ合法的なコンテンツ流通の最強の推進役となっている。
・iTunesを通じて販売される楽曲は累計20億。1日の販売数は500万曲にも及ぶ。そのため、アップルは「世界最大のデジタルコンテンツ流通企業」であり、「最も著作権料を著作権者に納付している企業」であり、「最もコンテンツ業界に貢献している企業のひとつ」である。

もちろん、アップルがこうした意見書を出す理由には「余計な補償金など支払いたくない」という判断があることは否めないなりが、それでも日本の企業が権利団体や国に面と向かって言えないことを、毅然と言ってのけるのは賞賛に値するところ。「日本音楽著作権協会(JASRAC)に外圧の波が訪れた」「アップルすげぇ」「頑張れアップル」と、ネットではアップルを支持する人がほとんどといった状況なりよ。

この問題が議論されている文化審議会著作権分科会法制問題小委員会に、どこまでアップルの「声」が届くのかは分からないなりが、少しでも「iPod課金」問題を回避する方向に向くと良いなりね。

ちなみに、アップルは意見書の「総括」として、次のような文言を載せているなり。強いなりね……。

「文化庁著作権課に依る一方的な行政運営には理解不能である。徒に著作権者団体の意見のみを汲取り消費者、機器メーカーの立場は無視し続けている。アップル社を私的録音録画小委員会から閉め出し、欠席裁判で物事も決める閉鎖的な体質を持つ文化庁の典型的な隠蔽体質をよく表している。(中略)鼻から『結論ありき』の審議会運営をする著作権事務局には真摯な姿勢は微塵も感じられず、もはや公平公正な著作権行政を運営する適切な省庁とは言い難く、速やかに著作権行政を他の省庁に移管することを強く望む。」

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