1994年の初入幕から8年で大関まで駆け上がり、これまで優勝3回、殊勲賞3回、敢闘賞2回、技能賞7回と輝かしい成績を残している大関・栃東。その力強い押しの相撲を好むファンは多いなりが、常に「横綱候補」と呼ばれながらも、度重なるけがに泣かされて2度の関脇への陥落を味わうなど、苦労の多い力士でもあるなり。2度大関から陥落し、2度とも復帰を果たした力士は、現行の大関復帰制度が始まってからは栃東ただ一人なりよ。
8度目の角番として迎えた今年の春場所前では、「5日目までに2勝しなければ引退する」と不退転の決意を表明した上で臨んだ場所だったなりが、初日から7連勝するなど、「強い栃東」が帰ってきたような戦いぶりだったなりよ。10日目には勝ち越しが決まり、角番からも脱出。朝青龍の独走状態を止めるためには強い大関の存在が必要なだけに、栃東の復調は相撲界全体にとっても喜ぶべきことだったなりね。
でも、好事魔多し。栃東は春場所の途中から頭痛や高血圧に悩まされていたなりが、病院で診察を受けたところ、過去に脳梗塞を起こしていたことが判明。脳のそれ以外の部分には異常が見られず、現時点では命に別状がなかったのは不幸中の幸いだったなりが、主治医の現役続行は難しいとの判断を受け、結局このまま現役を引退することになったなりよ。もともと太って高血圧になりがちな力士ゆえ、再発の可能性を考えればやむを得ない選択と言えるなり。
今後は栃東の父親で、師匠の玉ノ井親方が2009年9月3日に65歳の定年を迎えることから、栃東は部屋を継ぐ予定。正式な引退表明や今後の身の振り方についての詳細はゴールデンウィーク明けの5月7日に正式発表されるようなので、栃東の口から語られる言葉を待ちたいなりね。調子が上向いたタイミングでの、まさかの病気での引退。本人はもちろん、ファンにとっても残念ではあるなりが、一日も早く病気が治ることを祈っているなり。