公共広告機構(AC)のCM「
僕のルール」で有名なソフトバンク・和田毅投手をはじめ、プロ野球選手による慈善活動は少なくない。和田投手の場合は、2005年からプレーオフを含む公式戦登板時に1球投げるごとに10本、勝利投手になれば20本のワクチンを「世界の子供にワクチンを日本委員会」を通じて寄贈しているのだ。昨季からは、完投勝利で30本、完封勝利で40本という新たな「ルール」を追加した。
ほかにも横浜の石井琢朗内野手が安打1本につき1万円を横浜市に寄付し、引退した新庄剛志も、200号本塁打達成を記念して発売したバットの収益金1000万円を日本ハムの地元・北海道に寄付。今季は日本ハムのダルビッシュ有投手が、公式戦で1勝するごとに途上国の井戸掘りなどの資金として10万円を寄付する「ダルビッシュ有水基金」を設立している。
そんな中、和田投手に先駆けて03年から施設に贈呈している阪神・赤星憲広外野手の車いすが、ネットオークションに出品されるという悲しい出来事があったのだ。
赤星外野手は盗塁が成功するごとに1台の車いすを寄付しており、昨季までに計204台が福祉施設や病院に贈られている。この1台と見られるものが「Yahoo!オークション」に出品されたのだ。
「赤星選手直筆サイン入り車椅子『赤星号』」と題された
このオークションは、大阪府の出品者が4月23日午後7時41分に出品。赤星外野手の背番号「53」や「阪神タイガース 赤星憲広 寄贈 平成?年 1月吉日」というプレート、赤星外野手のサインが入った車いすの写真とともに、「知人から譲り受けたものです。」「新品未使用。タイヤにはまだカバーがついています。」「もちろん非売品です。」というコメントが掲載されていた。
20万円から開始したこのオークションは、開始1日で9人の入札があり1000万円を超える値が付いたのだけど、事態の重さを考えたのか、24日の午後10時19分に取り消しをしている。出品者は登録削除されているようなのだ。
このオークションは、24日にファンが球団の公式サイトに書き込んだことで赤星外野手にも知らされ、
赤星選手の公式サイトでは、26日付けのメッセージで〈非常に残念で、腹立たしい気持ちでいっぱいです。普通では考えられない、ありえない。「すぐにファンの皆さんの力で(違反通告等で)、出品取り下げになりましたが、悲しいを通り越して言葉もないです。どのような経緯で出品されたかは判りませんが、人としてすることじゃないですよ、許せません。オフィシャルサイトのファンレターに、沢山の方々からの報告メールが来ていました、皆さんの力を感じました。本当にありがとうございました。〉とコメントしているのだ。
この車いすは個人に贈呈されているものではないので出品者の入手経路などが知りたいけれど、いずれにせよ赤星外野手の善意を踏みにじるような行為。ヤフーは「出品の経緯も背景もわからない。単なるいたずらなのか判断しようがない」「確認しようがないので、何もできない」(
朝日新聞より)としているのだけど、なんとか取り締まる方法はないのかな。26日の赤星外野手の成績は3打数1安打1四球。このショックな出来事がなければ、もっとよい成績が残せたかも。