iTunes Storeが「DRMなし」など新サービス、日本での提供は未定。

2007/04/04 23:17 Written by コジマ

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デジタル配信が伸び盛りの音楽業界。CDも圧倒されそうな勢いなのけど、利用者にとってネックだったのがDRMというデジタル著作権管理機能。CDで、パソコンに取り込むことができないだけでなく、音質も劣化するCCCD(コピーコントロールCD)の是非が議論されたように、音楽配信でもDRMの存在が音楽の普及を妨げるという意見が多数出ているのだ。

例えば、米国のダウンロード配信サービス市場で7割超のシェアを誇る米アップルのiTunes Store(iTS)では、購入した楽曲が他のパソコンへ5台までしか転送できないだけでなく、iPodシリーズ以外で再生できないという制限がある。これは他のDRMよりも緩いものだけど、こうした著作権保護と音楽ファイルの自由度の合間で利用者はちょっともどかしい思いをしていたのだ。

ところが今回、英EMIがさまざまなオンライン音楽ストアでDRMなしの楽曲を提供していくと発表し、その端緒としてiTSで配信することが決定したのだ。価格は従来のものよりちょっと高めの1.29ドルだけど、これまでiTSで配信されていたビットレートの2倍となる256kbpsで販売されるため、音質も向上している。以前にiTSで購入したEMIのDRM付き楽曲も30セントでDRMフリーにアップグレードでき、DRM付きのものもこれまでと同様、99セントで購入できるようなのだ。

英EMIは所属アーティストとしてビートルズを抱えており、初めてのダウンロード販売が期待されたが、残念ながら今回のビートルズ楽曲配信は見送るとのこと。米アップルと英アップルの長きにわたる裁判で和解が成立したためiTSでのビートルズ楽曲の配信がウワサされていたけど、まだまだ長年のミゾは深いのかも。

EMIはビートルズ以外にもローリング・ストーンズやピンク・フロイド、コールドプレイなどの大物バンドが多数所属しているため、配信にワクワクしてしまったのだけど、このサービスは米国で行われるもの。順次iTSサービス提供国に適用していく予定となっているが、日本での実施は未定だそう。うーん、残念なのだ。

そういえば、このDRMフリー配信の発表と同時にサービスを開始した、iTSでアルバム収録曲の一部を購入済みの場合に残りの曲をまとめて安く入手できる「コンプリート・マイ・アルバム」も、日本を除く21カ国のみが対象となっているのだ。むむむ、やはり例の著作権協会の圧力なのかな……。

音楽販売を制限しているとして、欧州連合(EU)がアップルと大手音楽会社を相手に訴訟を起こしているように、こうした取引制限と著作権の考え方が世界的に緩やかになる方向へと向かっている昨今、日本でも早々に緩和されることを期待したいのだ。

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