最終的に14人の候補者が立候補した東京都知事選、現職の石原慎太郎氏や前宮城県知事の浅野史郎氏、建築家の黒川紀章氏、元足立区長の吉田万三氏をはじめ、タレントの桜金造氏などまさに多種多様なバックグランドを持った人が名乗りを上げている。1999、03年に続いて3度目の出馬を表明した発明家のドクター中松こと中松義郎氏は、北朝鮮のミサイルをUターンさせる発明「DND(ドクター中松ディフェンス)」で首都を守ることを公約に掲げているのだ。
こうして百花繚乱となった都知事候補の中でも、ひときわ異彩を放っているのが、ストリートミュージシャン名義で出馬した外山恒一氏。スキンヘッドや鋭い眼光が印象的なのだけど、同氏の過激な政見放送が話題になっているのだ。
外山氏は、1970年生まれの36歳。福岡や九州を中心に活動しているストリートミュージシャンにして政治活動家、前衛芸術家、文筆家、歌人などの肩書きを持つ人なのだ。2年間の獄中生活などを経験しており、現在は「反体制知識人」「ファシスト」を自称。うーん、よく分からない人なのだ。
さて、話題になっている政見放送では、冒頭から「諸君、この国は最悪だ」と切り出し、「こんな国はもう滅ぼせ」「私には建設的な提案なんて1つもない」「ぶっちゃけて言えば、もはや政府転覆しかない!」など、過激な言葉を列挙。最後は「外山恒一に悪意の一票を! 外山恒一にやけっぱちの一票を! どうせ選挙じゃ何も変わらないんだよ!!」と中指を立てているのだ。
いやあ、これまで唯一神又吉イエスこと又吉光雄氏や内田裕也氏などのトンデモ政見放送を見てきたけど、これはかなり異質。初めて見たときは、正規の政見放送ではないと思ってしまったほどなのだ。
外山氏は、どうやら自分に共感する“少数派”へ訴えかけているようで、“多数派”が支配する世の中に対して「もはや滅ぼすしかない」としているのだ。立候補に至る経緯については、長くなるので「掲示板のポスターを見てくれ」とのこと。選挙ポスターには連絡先も明記しているそうで、共感するならば東京都民や20歳以下の選挙権を持っていない人も歓迎なのだとか。
ずいぶん過激な政見放送なので、真剣に見てしまうとドン引きしてしまうのだけれど、狙ったような裏返った声や「私が当選したら、ヤツらはビビる。私もビビる」というギャグっぽい発言もあり、どこまでがネタでどこまでが真剣かよく分からないのだ。
なにはともあれ、歴史に残る“迷”政見放送であることは間違いない。新たに現れた都知事選名物候補、温かく見守りたいのだ。当選したら本当にビビってしまうけど。