世界中から愛されるノラ・ジョーンズの魅力とは、元タワレコCEOが分析。

2007/02/11 17:49 Written by コジマ

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ここ2年ほどサイド・プロジェクトであるリトル・ウィリーズの活動に専念していたノラ・ジョーンズ。1月24日に日本先行発売した3年ぶりのソロ・アルバム『ノット・トゥー・レイト』はビルボード・アルバム・チャート、UKアルバム・チャート、オリコン洋楽チャート、タワーレコード渋谷店アルバム・チャートで1位を獲得するなど絶好調。いかに彼女の声を心待ちにしているファンが多いかがうかがわれる。23歳でグラミー賞8部門を受賞し、世界中から愛されている彼女の魅力は何なのか、Hotwireが探っているのだ。

Hotwireは、元タワーレコード最高経営責任者(CEO)のキース・カフーンによって立ち上げられた国際的音楽出版社。日米英のタワーレコードの経営をしていたため、海外の音楽を日本に紹介するだけでなく、日本の音楽を海外に発信している。ビジネスマン・音楽ファンの両面の視点で語られる内容は興味深く、「MP3文化の中で失われたサウンド」などの記事は参考になるのだ。

キース・カフーンは、ノラ・ジョーンズについて〈スーパー・スターの座とうまく付き合っている〉としてる。名声を手にしたミュージシャンが陥りやすい〈麻薬やアルコール依存症というトラブルもなく、セレブ系のゴシップな話題とも無縁だ。有名であることに不満を漏らしたり、自分のルックスに自意識過剰になることも、お金に目が眩んでCMに出演しまくったり、象牙の塔に隠れるかのように世の中と距離をおくこともない〉、つまり、若きジャズ界の歌姫は、絶妙なバランス感覚でその地位を維持しているというのだ。

彼女のインタビューを読んだり見たりすると、そのバランスを必死で取っているわけではなく、天性のものであることが分かる。「自分のやりたいようにやってるわ」という、あくまで自然体なのだ。その余裕が、あの優雅な楽曲の数々を生み出しているみたい。

また、さまざまなジャンルのミュージシャンに愛されていることも特筆すべきこと。キース・カフーンは、故レイ・チャールズやウィリー・ネルソン、マリアン・マクパートランドなどのジャズ、カントリーの大御所から、フー・ファイターズやアウトキャストといったロック、ヒップホップ界まで共演していることを挙げ、彼らのキャリアアップに貢献するだけでなく、自身の音楽をも高めているとしている。そこもガツガツと上昇志向のカタマリといったわけではない。〈緩やかに音楽への挑戦を続けている〉というキース・カフーンの表現が的確なのだ。

クラシックなジャズを愛する人たちから多く聞かれる「ノラ・ジョーンズは純粋なジャズをやっていない」という批判に対しては、〈そんなことはどうだっていいのだ。〉と一刀両断している。まあ、それは人それぞれということで。それよりも大事なのは、自分のペースや“分際”を知り、その上で思い描いたビジョンに向かって強い気持ちで突き進むミュージシャンが存在するということ。ジャニス・ジョプリンが亡くなった時と同年齢になった彼女だけど、とても対照的なのだ。その表情を見ていると、きっと素敵なおばあさんになるだろうなあ、と思ってしまう。未来が見えるミュージシャンというのも、また魅力的なのかもしれない。

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