アメリカは糖尿病先進国といわれているほど、同国では失明や心臓病など身体障害の原因や、死因の代表的疾患となっています。インスリン依存性の「1型」糖尿病は、白人系に多く、逆にアフリカ系、ヒスパニック系、そしてネイティブ・アメリカンの間では非依存性の「2型」糖尿病の発生率が高いそうです。
1型糖尿病にいたっては、子供や若い成人に発症することが多く、毎日のインスリン注射を一生続けていかなければならないこの病気は、米児童の間で一番一般的な慢性疾患でもあるとか……。大変だねぇ。
さてアリゾナ州にお住まいのアンドリュー・ジェンタイル君(10歳)も、そんな糖尿病を抱える少年。しかし自分のケアだけでも大変なのに、アンドリュー君は同じ病気に苦しむ全米の子供たちに何か役に立つことは出来ないかと考える、心優しい少年だったのです。そんな彼は先日、「小児糖尿病研究機関」("Juvenile Diabetes Research Foundation")の主催するチャリティー・オークションに、自分が大切にしているとあるモノを寄付したのです。
それはなんとアンドリュー君の愛馬、「ジグザグ」。4年前からペットとして一緒に生活してきたミニチュア馬なのですが、小児糖尿病研究の費用を捻出するために、同団体のオークションに出品し、落札された分のお金を寄付することに。こういった寄付されたアイテムを競売する形のファンド・レージングはアメリカでは珍しくありません。
さてフェニックスで行われたオークションでは、会場に900人あまりが集まり、150点以上の品物が登場したそうです。その中で「ジグザグ」は6,000ドルの値段が付けられて落札。お馬はチャリティーに大いに役立ったのでした。
落札したのは2組のカップルだったそうですが、なんと彼らは競売終了後に驚きの条件をアンドリュー君の家族に出してきたのです。
馬の所有権は新しい飼い主に移るが、「ジグザグ」は今後も今までどおりアンドリュー君の傍らで暮らすこと。
そう、慈善活動のために涙の別れをしたと思ったアンドリュー君ですが、優しい購入者の心遣いで、大好きな愛馬とこれからも一緒に生活することが出来ることに。このニュースを聞いた時の彼は、本当に床から飛び上がって喜んだとか。
ちなみにアンドリュー君、これからも糖尿病患者の子供たちを元気付ける活動を続けていきたいそうで、「ジグザグ」と一緒に病院を慰問して回ることを計画中だとか。外出もままならない日々を送る子供たちも、もし馬を間近に見るチャンスがあったなら、辛い病院生活にもちょっと活気が戻るかもしれませんね。
頑張れ、アンドリュー君。