昼食時が憂鬱になる「ランチメイト症候群」、トイレで食事する人も。

2007/01/18 21:38 Written by コジマ

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ぼくが会社に勤めていた頃に楽しみだったのが、昼食時間。会社周辺にはけっこうおいしい店がそろっており、出勤早々から「今日は何を食べようかな」なんて考えながら仕事することもしばしば。別の階で仕事をしている後輩に誘われ、他の人たちと連れだって3〜6人で行動していたのだけど、年齢の近い別部署の人たちばかりだったので、バカ話をしたり自分の部署の不満を言ったりと楽しいランチタイムを過ごしていたのだ。

ところが、こうした息抜き時間であるはずのランチタイムを憂鬱に感じる人が急増しているのだとか。1人で食事をするのが寂しい、1人で食事しているところを見られると友達がいないと思われるのが怖い、1人で食事したいのに同級生や同僚の誘いを断れないなど、憂鬱になる理由はさまざま。こうした状態を、2000年の西鉄バスジャック事件の心理分析などで有名な町沢メンタルクリニックの町沢静夫院長は、「ランチメイト症候群」と名付けているのだ。

調べてみると、このランチメイト症候群という言葉はウィキペディアに掲載されているほど浸透しているので驚いた。それほどこの精神症状に悩まされている人が多く、話題になっている語句のようなのだ。

町沢所長によると、ランチメイト症候群は若い女性や難関大学の学生・出身者に多いそうで、塾などで忙しかった幼少期に人間関係を築く力を養えなかったことが原因としている。また、明治大学文学部の諸富祥彦教授は、ランチメイト症候群を含めた集団の中での孤立を恐れる心理状態を「ひとりじゃいられない症候群(孤独嫌悪シンドローム)」と名付け、自著「孤独であるためのレッスン」(日本放送出版協会刊)で孤独になることを恐れない勇気を持つことの重要性を説いているのだ。

周りに聞いてみると、「症候群」まではいかないにせよ、昼食時にこうした苦労している人はけっこういるようなのだ。「みんなで食べるのが部の決まりになっているから1人で食事できない」「忙しいフリして昼食時間をズラしている」なんて人もいたし。症状が進むとトイレで食事をしたり学校や会社を辞めたりする例もあるというから、事態は深刻なのだ。

冒頭で年齢の近い同僚たちとワイワイ楽しくランチタイムを過ごしていたことを書いたけど、すべてがうまくいっていたワケではなくて、押しの強い人の意見(どの店に行くか)が通ってしまい、納得しないでついていくケースもしばしばあった。ぼくは食いしん坊なので、食べたいものがある場合はどうしても譲れない。行きたい店でないところに決定すると、「○○(別の店)に行きますね」と別行動していたのだ。

とはいえ、毎回だと人間関係に支障を来すかもしれないので、何回かは行きたくない店でもついていくことにしていたし、別行動したときには食べ終わって会社に戻ったあとに「何を食べたんですか?」とか「あの店もうまかったですよー」なんて会話をしていたのだ。諸富教授の言う「孤独になることを恐れない勇気」と共に、「みんなで楽しむ気持ち」や「フォローとなるコミュニケーション」も大切かも。

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