フィギュアスケートの元女王、イリーナ・スルツカヤ選手が引退を表明。

2006/11/07 22:10 Written by コジマ

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グランプリ(GP)シリーズやファイナル、世界選手権などで無敵の強さを発揮しながらも、五輪での金メダルに縁がなかった女子フィギュアスケートのイリーナ・スルツカヤ選手(ロシア)。今年行われたトリノ五輪で金メダル候補筆頭でありながら、荒川静香選手やサーシャ・コーエン選手(米国)に敗れて銅メダルに終わったのは記憶に新しい。試合後、悔し涙を流していたリンクの女王が、五輪での金メダルを獲得できないまま引退を表明したのだ。

スルツカヤ選手が6歳の頃からコーチを務めているジャンナ・グロモワ氏が「私は彼女が引退することについて何も聞いていないが、もし彼女がそう言ったのなら、そういうことなのだろう」(世界日報より)と語っていることからも、周囲に相談をせずに引退を決めたようなのだ。当人は「自分が5分後に何をしているのか予想つかないが、スケート競技をやり終えたことは確か」()とコメントしている。

美しく完璧な演技で現役最高選手との呼び声も高かったスルツカヤ選手。しかし、その選手生活は順風ではなかったのだ。20歳のときに体重増加からジャンプができなくなって引退を考えたり、結婚後も重度の腎臓病にかかった母の看病、そして自身も自己免疫疾患にかかるなど、かなりつらい人生を歩んでいる。

しかし、そのたびに見事復活し、GPファイナルや欧州選手権、世界選手権などで華麗な演技を披露、数々の金メダルを手にしてきたのだ。自己免疫疾患の薬の副作用で体がむくみ激痛をこらえて練習していたという強い精神力に裏付けられた強靱さとそれを感じさせない艶やかさは、他のスケート選手にはない、まさに「女王」の称号に相応しいものだった。人懐っこい笑顔も良かったなあ。

そんな彼女の口癖は、「That's life」。ソルトレークシティ五輪でもトリノ五輪でも、悔し涙を流しながらも「それが人生よ」と、与えられた運命から逃げたりせずきちんと向き合う姿勢に、多くの人が深い感銘を受けたのではないだろうか。

引退後はテレビのトークショーで司会を務めたいと語っているそうで、スケートには関わらない道を選ぶのかもしれない。荒川選手が主催したアイスショーでの演技が素晴らしかったので、せめてプロの舞台でその演技を見たい気もするけど、たくさんの人に感動と力を与えてくれたスルツカヤ選手に、感謝を込めつつ「お疲れさま」と言いたいのだ。

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