VHSビデオが「IEEEマイルストーン」認定、電気分野発展への功績で。

2006/10/11 22:52 Written by コジマ

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1976年に登場した日本ビクターのVHSビデオ。最近ではハードディスクレコーダーやDVDにおされてその存在感は薄くなっているのだけど、その偉大さは世界の誰もが認めるところ。テレビを見る感覚を一変させてくれたのだ。そんなVHSビデオがこのほど、米電気電子技術者学会(IEEE)から電気電子分野の歴史的業績を称える「IEEEマイルストーン」に認定されたのだ。

IEEEマイルストーンは、IEEEが電気電子分野における歴史的業績を認定するもので、1983年から始まった。認定に当たっては25年以上も世の中で高い評価を受けなければならず、この23年間で認定されたのは世界でもたった74件。そのなかで、日本製品が6件も選ばれているのは、さすがなのだ。ちなみに、昨年までに認定された日本製品は、95年の八木アンテナ(東北大学)、00年の富士山頂レーダー(気象庁)と東海道新幹線(JR東海)、04年のセイコークォーツ(セイコー)、昨年の電卓(シャープ)。

今回認定されたVHSビデオは今年で30周年。その功績も含めて資格は十分だったのだ。75年に登場したソニーのベータマックスとの長期にわたる激しい攻防の結果、生き残った規格で、性能ではベータのほうが上という噂だったけど、さまざまな要因によってVHSがシェアを獲得したのは家電・オーディオ好きなら周知のこと。これは現在も、ブルーレイとHD DVDの争いに引き継がれているのだ。

こうして生き残ったVHSは、ビデオデッキの累計出荷台数が世界で9億台以上にものぼり、世界中の人々にVTRで楽しむことを提供した。こうした功績が評されて今回のIEEEマイルストーン認定となったのだ。普及に貢献したのは、松下電器だという意見もあるけど。

ぼくの家でも小学生の頃に導入され、少年野球をやっていたぼくは、日曜日の午前10時から放送していたアニメ「キン肉マン」を見ることができるようになって、「ビデオってすげーなあ」なんて感想を抱いた記憶があるのだ。

最近は、ハードディスクレコーダーやDVDなどにおされ、ディムスドライブの調査で最近使わなくなったものの1位に挙げられてしまったし、11年のアナログ放送の終了によって現行の機種のほとんどが予約録画できなくなるなど、VHSビデオはその役目を終えようとしている。しかし、VTRを見ることが当たり前になった世の中にしてくれたVHSのIEEEマイルストーン認定は、ビデオ世代のぼくにとってはちょっぴりうれしいのだ。受賞に当たって贈呈されたIEEEマイルストーンの銘板は、日本ビクターの技術開発の拠点である「テクノウィング」(横浜市)に埋め込まれるのだそう。

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