近年は、インターネットの普及によってミュージシャンも活動の幅が広がっている。アークティック・モンキーズやクラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤーなど、若手はこれまでと違ったアプローチで世に出るようになったし、自身のブログから政治的コメントを発信する大御所もいる。こうしたITを利用してプロモーション活動を行ったミュージシャンを表彰する音楽賞、BTデジタル・ミュージック・アワード(DMA)の受賞者が今年も発表されたのだ。
DMAは2001年に始まり、今年で5回目。最優秀ポップ・アーティスト部門は、今年6月にデビュー・アルバム『I Wish I Was A Punk Rocker』がUKチャートで1位を獲得したサンディ・トムや、英国のトップアイドルグループとなっているガールズ・アラウド、英国版アメリカン・アイドルの第1期優勝者ウィル・ヤング、クークス(なぜポップ部門?)を抑えて、UK注目の新人、リリー・アレンが獲得した。スカやレゲエ、R&Bなどを取り込んだ21歳の新歌姫、楽曲の評価も高いけど、レコードデビューと同時にソーシャル・ネットワーキング・サイトのマイスペースで自分の音源を発表したり、
公式サイトでブログを頻繁に更新していることなどが認められたようなのだ。
最優秀ロック・アーティスト部門はエディターズやカサビアン、ミステリー・ジェッツ、ハード・ファイなどを抑えてミューズが、最優秀アーバン・アーティスト部門はプランBやザ・ストリーツ、ネイト・ジェイムス、スウェイを抑えてレマーが獲得したほか、今年新設の最優秀インディー・アーティスト部門(Best Unsigned Artist)では、ブライトン出身のThe Wonderfulsが選ばれたのだ。チャンネル4の
公式サイトで3曲ダウンロードできるのだけど、“ゆるいリトル・バーリー”といった感じのブルースフィーチャー系サウンドがなかなか。これから注目のバンドかも。
DMAらしい部門もたくさんあり、最優秀プロモーション部門では、ホワイト・ストライプスの「ザ・ディナイアル・トゥイスト」をプロモーションした
XLレコードのサイトが受賞。最優秀キャンペーン賞はトム・ヨークの
『ジ・イレイザー』のサイトが受賞し、トム・ヨークは携帯電話部門も「MobLip」(携帯電話用インスタントブックマーク)を利用したプロモーションで獲得している。最優秀サイト部門は
マクフライの公式サイトが、最優秀非公式サイト部門は
ミューズのファンサイトが、最優秀ブログ部門は最優秀音楽サイト部門の受賞を逃した
ザ・ストリーツの公式サイト内にある「Mile & Ted Mayhem's blogs」が獲得した。
音楽とITはこれからもどんどん親密な関係になっていき、むしろITを駆使しないとシビアな音楽界を生き残れないほどになるかも。それと同時に、DMAの重要性もどんどん高まっていきそう。日本でもこういう音楽賞をやればいいのになあ。
☆BT DMA受賞者リスト
最優秀ポップ・アーティスト部門
リリー・アレン最優秀ロック・アーティスト部門
ミューズ最優秀エレクトロニック・アーティスト/DJ部門
ロレイン最優秀アーバン・アーティスト部門
レマー最優秀インディー・アーティスト部門
ザ・ワンダフルズ最優秀ポッドキャスト部門 London Elektricity
最優秀ラジオ局部門
Gaydar Radio最優秀ミュージック・ストア部門
Bleep最優秀音楽誌/音楽ニュースチャンネル部門
NME.com最優秀イベント/パフォーマンスサイト部門
Download Festival最優秀音楽コミュニティー部門
Last.FM最優秀アーティスト・プロモーション部門 ザ・ホワイト・ストライプス
「ザ・ディナイアル・トゥイスト」プロジェクト・サイト最優秀アーティスト・キャンペーン部門 トム・ヨーク
『ジ・イレイザー』公式サイト最優秀ブロードバンド利用部門 英MTV
OVERDRIVE最優秀サイト部門
マクフライ公式サイト最優秀非公式サイト部門
ミューズ・ファンサイト最優秀ブログ部門 ザ・ストリーツ
「Mile & Ted Mayhem's blogs」