人気ドラマ「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」脚本家、大森美香インタビュー。

2006/09/04 22:44 Written by コジマ

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先日Narinari.comでもお伝えしたように、「下北サンデーズ」と「レガッタ」(ともにテレビ朝日系)が打ち切りとなるなど、苦戦している作品が多い「夏ドラマ」。そんななかで、やけにリアルな設定がうけている「結婚できない男」(フジテレビ系)とともに視聴率と満足度の両面で激しくトップを争っているのが、「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」(日本テレビ系)なのだ。こちらはヤクザの跡取りが高校生になるという現実離れした設定が人気で、幅広い層から支持を得ている。同作品の脚本家である大森美香が、読売新聞のインタビューに答えているのだ。

「マイ☆ボス〜」は、ケンカには強いが学力は小学生並みという「関東鋭牙会」の若頭、榊真喜男(長瀬智也)が、父である組長(市村正親)から組を継ぐ条件として年齢を10歳偽って入学した名門高校「セント・アグネス学園」で繰り広げる学園コメディー。2001年公開の韓国映画「頭師父一體(My Boss My Hero)」(ユン・ジェギュン監督)のリメイク作品なのだけれど、日本でのドラマ化に当たって、作風から登場人物の設定まで大幅に変更されているのだ。

「原案の映画は暴力場面が多いが、ドラマは毎回、学べるテーマを一つ考え、学生なら学校へ、社会人なら会社に行きたくなるような明るい作品にしたかった」と語る大森美香。34歳の若さでフジテレビ系の「月9」ドラマやNHKの「朝ドラ」などを手がける人気脚本家なのだ。

青山学院女子短大卒業後、名古屋テレビの東京支社で事務職に就いたのだけれど、4年で退社。フジテレビでADやAPとしてキャリアを積み、同局の深夜ドラマ「美少女H」で脚本家デビューし、00年からフリーに。翌年の「カバチタレ!」(フジテレビ系)を足がかりに、「ロングラ・ラブレター〜漂流教室〜」(同)、「ランチの女王」(同)など次々にヒットを飛ばし、昨年の「不機嫌なジーン」(同)では、優れたドラマ脚本に贈られる向田邦子賞を史上最年少で受賞している。今年も「風のハルカ」(NHK)や「里見八犬伝」(TBS)を手がけているのだ。

学生時代はマスコミ志望ながらも、「元々は脚本家になろうと思っていなかった」と語っている。この世界に入ったきっかけは、名古屋テレビで事務をしていた頃に受講したマスコミセミナーだったようなのだ。「山田さんが語った、ドラマの舞台裏の話が面白くて、その場で山田さんに、撮影現場で働きたいと願い出たんです」。その時の講師だった山田良明氏(現フジテレビ常務取締役)に直談判し、フジテレビで契約社員として働くようになったのだとか。うーん、世の中何が転機になるか分からないのだ。

「マイ☆ボス〜」は自身にとって初の日テレでの仕事だけれど、オリコンの満足度調査や視聴率を見る限り、成功と言えるだろう。「ヤクザの若頭が、高校では雑用もやり、プリンをおいしそうに食べる。そんな姿もかわいいし、真喜男が追試を受ける場面など、自分の体験も基にして、つらい事や楽しい事を想像しながら、真喜男という人物を楽しんでいます」と、自分の作り上げたキャラクターを愛しているのがその秘訣かもしれない。

ドラマの展開としては、今が佳境。脚本執筆のためにここ数カ月間、都内のホテルで缶詰状態だという。それでも「私自身テレビをよく見ていた方ではないけど、偶然見た番組に気持ちが救われることもある。テレビは、そんな身近で自由なメディア。だからドラマを書くのも好き」と笑顔で語る当たりは、脚本家が天職だったに違いないと思わせる。ドラマが終了しても、この脚本家からはしばらく目が離せないのだ。

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