市場拡大が予想されるゲーム内広告、日本でもブレークの兆し。

2006/08/31 21:09 Written by コジマ

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米国で盛んになっているゲーム内広告。ゲームのなかに実際の商品を登場させる広告形態で、現在1億ドルに満たない市場なのだけれど、2009年までに4億ドル以上に成長するという見通しもあるのだ。こうしたなか、次世代家庭用ゲーム機の登場が相次ぐ日本でも、新たな広告媒体としてブレークする兆しがあるという。

ゲーム内広告市場は、05年で8000万ドル(約94億円)。決して大きな規模とは言えない。しかし、米パークス・アソシエーツ社の調査によると、09年までに4億ドル(約470億円)以上にまで拡大するという見通しが立っている。ゲーム内広告の発祥地である米国では、おもなユーザー層である18〜34歳の男性に向けたものが多く、自動車や飲食料品、アパレル、ライフスタイル業界とさまざまな業種がクライアントとなっている。しかし同社は、子供と一緒に楽しむ大人が増えていることから、こうした層に向けた広告によって市場が拡大するとみているのだ。

こうした調査だけでなく、実際に企業も動いている。他の次世代ゲーム機に先駆けて発売された「Xbox 360」を展開する米マイクロソフト社が、今年5月にゲーム内広告専門の広告代理店、米マッシブを買収した。買収額の正式発表はないものの、一部では2億〜4億ドル(約234億〜478億円)とも言われ、マイクロソフト社がどれだけ本気か伝わってくるのだ。

一方、日本ではまだゲーム広告は企業にもユーザーにもそれほど認知されておらず、登場するゲームはコナミの「メタルギアソリッド3」で大塚製薬の「カロリーメイト」など少ない。しかし、インターネット広告大手のサイバーエージェントが、オンラインゲームのゲーム広告を専門に扱う代理店を設立を発表するなど、動き出した企業もあるようなのだ。こうしたなか、ゲーム誌を発行するエンターブレインの浜村弘一社長は「日本でもこの先、ゲーム内広告が活発化する可能性は大きい」(イザ!より)とコメントしている。

ここで気になるのが、ユーザーの印象。いくら広告媒体としての価値が高まろうと、ユーザーにとって煩わしいなら本末転倒になってしまう。まあ、これは雑誌でも一緒だけど。ゲーム内広告が浸透してきている米国では、やはり「煩わしい」とする意見が多いようなのだ。これは前出のパークス・アソシエーツ社の調査によるもので、主なユーザー層である18〜34歳男性で「広告表示によってゲームが向上するなら気にしない」と回答した人は29%にとどまっている。しかし、広告表示方式では、現在主流であるゲーム前やゲーム中に掲示される方式よりも、ゲーム内で小道具として商品が配置されることを約半数が望んでいたのだ。ちなみに、35〜54歳女性で「気にしない」と回答した人はさらに低下し、19%となっている。

衆目の集まるところに広告あり。ゲーム内広告も新たな媒体として成長していく可能性は大いにありそうだけど、ユーザーの使用感を無視したゲームづくりだけは避けてほしいのだ。

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