便器で学ぶ歴史、東京・新宿に「トイレ博物館」。

2006/08/17 21:29 Written by コジマ

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人間に生理現象がある限り、切っても切れない関係なのが便器。人間と共に、便器も時代や場所によってさまざまな変化を遂げてきているのだ。そんな便器の歴史を知ることができる展示会が、東京・新宿にあるTOTOのショールーム「TOTOスーパースペース」で開かれているのだ。19世紀に使用されていた鉄便器や女性用立ち小便器など、TOTO秘蔵のコレクションが公開されている。

現在、日本ではほとんどの家庭(特にマンション)が西洋式便器を設置しているだろうけど、ぼくが小学生くらいまでは和式便器のほうが多かった記憶があるのだ。また、ウォシュレットが登場したり、自動で水が流れる機能が付いたり、最近では、トイレに入るだけで便座が上がるものもあるようで、便器の進化はまだまだ続いている。便器は身近に歴史を感じられるものなのだ。

こうした便器の歴史を、TOTO秘蔵のコレクションとともに解説しているのが、今回、新宿で開かれている「トイレ博物館」。北九州市小倉にあるTOTOの「トイレ博物館」(衛生陶器工場内)から持ち出したレアモノは、
19世紀後半に作られた鉄製便器、有田焼便器、女性用立ち小便器、力士用の特大便器などで、紀元前4200年頃に使われたとされるメソポタミア宮殿跡から発掘された世界最古のレンガ製便器や平安時代の樋箱(おまる)、仏ルイ王朝時代の隠し便器、水戸光圀の杉の葉入り小便器などのミニチュア模型も展示しているのだとか。

女性用立ち小便器は、東京五輪の際、外国人選手のために国立競技場に設置したことが有名だけれど、米国ではナイロン製ストッキングの開発とともに、ストッキングが伝線しにくい中腰の姿勢で用を足せるこの便器「サニスタンド」が歓迎されてたようなのだ。使用した紙も流せるようになっていたのだそう。「サニスタンド」の使い方は、TOTOのサイトで解説しているので、興味がある人はチェックを。

日本では昭和初期まで特に農村部で女性が立って用を足すことが当たり前だったそう。当時は日常的に着物を着ているので、便器にしゃがむのは不便だったからかもしれない。1951年にTOTOが「サニスタンド」を同じ名称で販売したのだけれど、女性が立って用を足すことに抵抗感を持ち始め、ひっそりと消えていったようなのだ。女性の下着が体にぴったりしたものになっていったことも、歓迎されない一因だったとのこと。

こうして、便器1つでも廃れていった習慣や着るものの変遷が分かってくる。やはり、便器は人間の歴史に密着しているものなんだなあ。「トイレ博物館」では、1960年〜現在までの「トイレ史」年表や便器の原材料なども紹介しているとのこと。8月27日まで開催しているので、自由研究の題材に困ったときでも大いに利用できる。また、アンケートに答えると、便器の形をした携帯電話用ストラップがもらえるのだ。うーん、結構かわいいかも。

☆「トイレ博物館」
期間: 8月27日まで開催(8月20日は休館)
時間: 午前10時〜午後6時
場所: 「TOTOスーパースペース」東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー26階

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