コンセプトは「究極の分かりやすさ」、デザイナーが新標識を提案。

2006/07/19 12:18 Written by コジマ

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車で知らない道を走っているときに頼りにするのが、行き先や車線規制を表示した標識。しかし、事前の標識もなく突然車線規制がされている所も多く、運転者があわてて車線変更を行うので、渋滞や事故を招く原因となっているのだ。特に東京都内は交通量が多いため、危険度は高まっているのだ。こうした状況を改善しようと、東京都江東区のデザイナー、森純一郎さんが新しい標識を提案している。コンセプトは「究極の分かりやすさ」だとか。

森さんは1994年に顔面を骨折するという大事故に遭って以来、危険な交差点の実態調査を行っている。数年にわたる調査の末、標識こそ最大の問題という解答を導き出したのだ。大きな交差点の場合、行き先の地名を表示する「案内標識」が300メートル手前に設置されていることが多いのだけれど、時速40キロで走っていると300メートル進むのに27秒しかない。この27秒間で一瞬見た標識を理解して車線を変更しなければならない。

森さんが挙げた標識の問題点は、(1)「案内標識」と直進・右左折車線を指示する「規制標識」は管理する省庁が違うため、バラバラに設置されていて分かりにくい、(2)交差点名の表示がないのでどこで曲がればいいのか分かりにくい、(3)行き先表示が2カ所ある場合は遠いほうが左、近いほうが右に書かれているが、左から文字を読む習慣と逆で紛らわしい―など。こうした点を考慮して、森さんが考案したのが下の標識。

「案内標識」と「規制標識」を一体化させ、交差点名も明示。行き先地名も現行のものと逆にして読みやすくしているのだ。ただ、ちょっと情報量が多すぎてごちゃごちゃしている感がぬぐえないけど。これもごちゃごちゃしている交差点を反映しているということなのだろうか。

たとえ出発前に地図で道路を確認しても、実際にその場所に行ってみるとどの車線に行けばいいか分からなくなる。また、標識による目的地の確認は、カーナビ搭載車を運転している人でも行っているのではないだろうか。「今の標識は、ドライバーに大きなストレスを与えている。省庁の縦割りを超えて抜本的に考えないといけない」(東京新聞より)と森さんが語っているように、こうした提案が議論を深めるきっかけになってほしいのだ。

森さんのホームページに掲載されている「最近12年間 東京都の事故の多い交差点番付表」では、東の横綱として渋谷区の渋谷警察署前交差点が挙げられている。交通量が多く、3つの大きな道路が複雑に交差する場所なので、ぼくもよく通るけど毎回怖い思いをしているのだ。たしかにここは突然左折のみの車線規制になるし、上に高速道路が走っているため標識も見づらい。渋谷という土地柄、休日ともなればあまりこの道に慣れていない車も多く通るので仕方のないことだけど、ドライバーも急な車線変更や割り込みをしないよう心がけなければならないのだ。

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