ソフトバンク・王監督が緊急入院、胃腫瘍手術で休養へ。

2006/07/06 07:42 Written by コジマ

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選手として本塁打世界記録を保持し、ホークスを率いては5度のリーグ1位、2度の日本一、今年は第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表を優勝に導くなど、選手・監督として世界から評価されているソフトバンクの王貞治監督が5日の西武戦終了後、胃の腫瘍のため休養することを明らかにしたのだ。6日に東京都内の病院に入院し手術を受ける予定で、約1カ月の入院加療が必要とのこと。復帰までは、森脇浩司チーフヘッド兼内野守備走塁コーチが監督代行を務める。

5日の西武戦は、4時間35分の激闘の末、延長12回引き分けとなった。試合終了約30分後の午後11時過ぎに王監督は緊急会見を開き、胃に腫瘍があることと緊急手術を受けることを発表、西武と1位を争うなかチームを離れる無念さと、闘病への決意を語ったのだ。

昨年12月の検査では異常はなかったものの6月中旬から胃の入り口に違和感があったため、周囲の勧めもあって7月に病院で検査したところ、腫瘍が発見された。監督だけでなく、球団副社長、ゼネラルマネジャーの三役を務めているため、チームへの影響を懸念し、「オレは痛いのが嫌いだし、切らずに治そうと思った」(中日スポーツより)そうだけど、医師の判断は「できるだけ早く手術したほうがいい」。まさに断腸の思いで入院、手術を決意したそうなのだ。2001年に胃癌で亡くなった恭子夫人のことも頭をよぎったのかもしれない。

王監督は記者会見で、「シーズン途中にチームを離れるのも、一番好きな野球を離れるのも残念で悔しい。ファンにも申し訳ないが、コーチと選手が頑張ってくれるだろう」(スポーツニッポンより)と無念さをにじませ、選手たちには「ここまで(チームは)いい状態になってきた。監督がいるいないじゃなく、自分のやるべきことをやってほしいと伝えた」(西日本スポーツより)と語っている。

WBCで日本代表を初代王者に導き世界から称賛されたものの、そのプレッシャーと福岡−東京の度重なる往復は、健康が自慢だった王監督の体をむしばみ、今季開幕直後には連日、点滴を打って球場入りしていたそうなのだ。WBCによほど懲りたのか、08年の北京五輪日本代表の監督就任要請は固辞していた。長嶋茂雄・巨人終身名誉監督への監督就任要請が発表されたとき、「王監督に失礼だなあ」と思ったのだけれど、こんな健康上の理由があったとは……。大好きなコーヒーやビールも控えていたそうだから、胃の痛みはよほどのものだったのだろう。

しかし王監督は、日刊スポーツに連載されている5日付けの「王語録」で、「王監督 この後、2日間あるけど、仙台はどうかな。その後の大阪は大丈夫だろうけど。3日くらいは何も食べてないだろから。」と、5日に急性大腸炎で入院したホルベルト・カブレラ外野手を気遣っていたのだ。

また、5日の試合で1点を追う延長10回裏、打席に入った松中信彦内野手が泣いていた。試合前に緊急入院と離脱を伝えられていたそうなのだ。この打席は四球だったものの、12回には執念の適時打で同点にした。試合後も涙を隠さなかった松中内野手。「監督が元気になるには、勝つことが一番。早く治ることを祈って戦っていく。チームの中で、より一層厳しいことも言っていきたい」(西日本スポーツより)と、王監督の1日も早い復帰を願うとともに、監督不在時の役割を語っている。

世界的な野球関係者である王監督の緊急入院は海外メディアの関心も高く、AP通信は会見からわずか10分後に速報を配信したそうなのだ。

「必ず秋にはプレーオフを制して、3年ぶりに日本シリーズに出て、日本一を奪回したいと思っています。私はいつ帰ってくるかわからない。選手には“チームにはものすごくいい風が吹いている。テレビで見ているぞ”と伝えました」(日刊スポーツより)としながらも、「チームが戦っている間に帰ってくる」(中日スポーツより)と、早期復帰を望んでいる王監督。入院期間は1カ月と見られているけど、無理をせずに完治してからの復帰を願いたいのだ。監督代行を任された森脇コーチは「監督が戻ってきた時に、いい形でバトンを渡したい。目標は1つしかない。監督にはいくつも勇気をもらった。今度はいい結果を残して勇気を与えたい」(スポーツニッポンより)と決意を表明している。

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