ロックの名曲を自分の言葉で、SIIが「洋楽翻訳選手権」を開催。

2006/05/31 23:57 Written by コジマ

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洋楽の歌詞を理解しようとして一番困るのが、きちんとした文法に則っていない文章や、意味をたくさん含んでいる言葉。ビートルズなんかも後期は難解な歌詞が多く、公式な出版物でも翻訳者によって内容が変わっていることもしばしばなのだ。そんな洋楽の歌詞についてセイコーインスツル(SII)が、中高生が独自に翻訳して競う「第三回 SII全国中学校・高等学校 電子辞書 洋楽翻訳選手権」を開催するそうなのだ。最優秀賞には1週間のロンドン体験留学などの賞品も用意されている。

洋楽を聴いていてよく思うのは、「ああ、英語の歌詞が自然に入ってきたらなあ」ということ。まあ、ネイティブでも難しいといわれている音楽英語の聞き取りだけに、その辺はあきらめて歌詞カードと格闘を始めるのだ。この「洋楽翻訳選手権」は、そうした独自に歌詞を翻訳している中高生を応援するために始まったようなのだ。

第3回を迎えた今年の課題曲は、2002年に惜しまれつつ解散したMR. BIGが91に発表した名曲「トゥ・ビー・ウィズ・ユー」と、カナダ出身のガールズバンド、リリックスのニュー・シングル「スウィート・テンプテーション」の2曲。この2曲のどちらか一方、または両方の歌詞の一部を翻訳するフリースタイル部門と、MR. BIGの「トゥ・ビー・ウィズ・ユー」の歌詞の一部だけを翻訳するフレーズ部門があり、中学生が参加できるのはフレーズ部門のみだそう。

フリースタイル部門の最優秀賞には、副賞として、1週間のロンドン体験留学、EPSONのパソコン(上位機種だそう)、Oxfordの「マザーグースCD付き」、SII「電子辞書」が贈られるそうなのだ。でも、毎日新聞社賞の人がもらえる「『毎日ウィークリー』1年分」は微妙だなあ。

協賛している音楽総合サイトのBARKSには、翻訳の極意として、セックス・ピストルズの唯一のオリジナル・アルバム『NEVER MIND THE BOLLOCKS』は直訳すると『つまらないことには気にするな』だけど、当時の日本のレコード会社はアーティストの個性を引き出して『勝手にしやがれ』というタイトルを付け、シカゴの「Hard To Say I'm Sorry」を「ごめんと言うのは難しい」という直訳を避け、曲のニュアンスから「素直になれなくて」というタイトルに、イーグルスの「I can't tell you why」は歌詞の裏に流れるテーマを読み取り、「君に理由を話せない」という直訳を「言い出せなくて」というものにしていることを紹介しているのだ。

ぼくは、昔流行っていた洋楽の邦題が大好きで、できればすべて邦題をつけて欲しいくらいなのだ。ローリング・ストーンズの「悪魔を憐れむ歌」(原題「Sympathy for the Devil)とか、ボブ・ディランの『追憶のハイウェイ61』(原題『HIGHWAY 61 REVISITED』)なんてかっちょいいのだ。しかし、ポリスの「Don’t Stand So Close To Me」のように、「高校教師」なんて訳の分からない邦訳があるのもたしか。応募する中高生のみなさんは、こうした悪例をマネしないように。

評価の基準は、英語における単語力や文法力はもちろん、作詞者の意図や感情を読み取る感性や日本語表現力の質、オリジナリティだそう。うーん、けっこう難しいのだ。募集期間は7月3日〜9月9日(郵送の場合は当日消印有効)。ちなみに、審査員はエルビス・プレスリーやビートルズの評論で有名な湯川れい子氏だそう。

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