昭和天皇を描いたロシア映画「太陽」、日本公開が正式決定。

2006/05/24 20:07 Written by コ○助

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2004年度のアカデミー賞主要3部門(脚本賞、主演男優賞、助演女優賞)にノミネートされるなど、海外では高く評価されていながら、恐らく日本人にはそれほどなじみのない「ルワンダの虐殺」をテーマにしていることが配給会社に二の足を踏ませていた映画「ホテル・ルワンダ」。本来ならそのまま日本公開はされずにお蔵入りしてもおかしくはない作品だったなりが、公開を求める映画ファンの熱い署名活動の末に、日本でも陽の目を見ることになったなったのは記憶に新しいところなりよね。

ネットから火が付いた「ホテル・ルワンダ」はテレビや雑誌でも大きな話題となり、配給会社もビックリするような反響を呼んだなりが、「ホテル・ルワンダ」同様、題材が「興行的に成立しない恐れがある」などの理由によって配給会社が及び腰になり、海外では高い評価を得ながら日本での公開のめどが立っていなかった作品があるなりよ。ただ、「ホテル・ルワンダ」と異なるのは、この作品が日本にとって疎遠なテーマだからではなく、逆に敏感にならざるを得ないテーマだったから。デリケートなテーマ過ぎるために、なかなか買い付けをする配給会社が現れなかったなりね。

その作品は、ヒトラーやレーニンを描いた3部作「20世紀の権力者」のひとつとして、ロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督が昭和天皇をテーマに据えた「太陽」。Narinari.comでも、「太陽」が第55回ベルリン国際映画祭のコンペ部門に出品されたり、ロシアで開催された第13回サンクトペテルブルク国際映画祭でグランプリを獲得したという話題をお伝えしてきたなりが、少しずつ、少しずつ、ネットでは「太陽」の公開を求める声が上がっていたなりね。特に大規模な署名活動などが行われていたわけではないなりが、そうした声が届いたのか、ようやく日本での公開が正式に決定したなりよ。8月5日から東京・銀座の「銀座シネパトス」で公開されるほか、大阪や名古屋でも順次公開されることが決定しているなりね。

ほかの配給会社が手を挙げずにいた「太陽」なりが、配給を決めたスローラーナーはその理由を「ある種のフィクションとして、素晴らしいクオリティーを持っており、日本で公開されるべきだと思った。東京裁判から60年という節目でもあり、この映画がいろんな議論や意見が出てくるきっかけになれば」(スポーツ報知より)と説明しているなり。

「太陽」はロシア映画ながら、昭和天皇の役にイッセー尾形、皇后役に桃井かおり、侍従長役に佐野史郎、ほかにも六平直政や舞踏家の田村泰二郎などが起用されているのも大きな話題。ベルリン国際映画祭に出品された際に、スポーツ報知のインタビューに答えたイッセー尾形は、「言いたかったのは、とにかく見てほしい、ということ。見ていただかないことには、映画の意図することは何も伝わらない」「日本公開は難しそうですが、正直、理解できません。今後、海外の映画館や映画祭では上映されるので、日本の方も見てほしいです」と、少しでも多くの人に観てもらえるよう訴えかけていたなり。

これまで日本ではタブー扱いだった昭和天皇の描写を、アレクサンドル・ソクーロフ監督がどのように料理しているのか。注目しておきたいところなり。

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