今年2月、米ニューヨーク市の勤続6年の職員が、勤務時間中にパソコンに入っているゲーム(ソリティア)で遊んでいたことにより退職金が支払われない懲戒免職となった。また、4月には同じくニューヨーク市の職員が勤務時間中にインターネットを閲覧していたことにより解雇以外の懲戒処分を受けた。こうしてニュースになると「あー、バカなことしてるなあ」なんて思うけど、いざ自分を振り返ってみると、彼らのような行為をしていた覚えが少なからずあるのではないだろうか。米経済誌フォーブスは、ウェブサイトに「あなたの解雇につながるこれだけの筋道」(原題:「
Getting Yourself Fired」)と題したコラムを掲載。何気ない行動で解雇につながることを警告している。このコラムは、日経BPのウェブサイトで
翻訳されているのだ。
コラムを執筆したスコット・リーヴス氏は、冒頭で「困ったことだが、愚かな人間だからといって必ずしも解雇されるとは限らない。愚かな人々がはなばなしい行動に出ると解雇につながるのだ。」と述べ、解雇につながる行動の具体例を挙げている。
・会社のコンピュータにポルノを保存する
・会社のパーティーで大酒を飲み、上司とけんかする
・酔っぱらって上司の前で見苦しい振る舞いをする
・電子メールで社内の異性を誘う
・電子メールに上司の悪口を書く
・会社のウェブサイトを荒らす
・会社が所有するデータを破壊する
・嘘でごまかしたうえに締め切りに遅れる
・窃盗
・許可なしに会社の内情を部外者に話す
・ブログに度を超えた会社での話を書く
・思うように昇給しないため「ギャングと契約を結んだ」と上司を脅す
・会社の備品を売りさばく
・職場に枕を持ち込む
・病欠と電話をしておきながら、午後に職場へ来てサイドビジネスを行う
・異性の同僚と職場でいちゃつく
などなど。
自分の胸に手をあてるようなことから嘘のようなことまで列挙されているのだけれど、どうやらこれらは実際にあったことのようなのだ。そしてリーヴス氏は、それぞれに気の利いたコメントをしている。例えば、電子メールに関する事例については「教訓――職場の電子メール・アカウントを個人のものと思い込まないこと」、窃盗については「経営者は日曜学校の先生ではなく、善い行いと悪い行いについて、わざわざ説いてくれたりはしない」、ブログについては「自分がブログに書いたことが部外者の目にどう映るのかを考えるべき」と注意を促し、「プレス向けの声明は、会社の広報担当者に任せておくのが一番だ」、それでも納得できないのなら「だれが給料の小切手にサインするのかを考えるべきだ」としているのだ。
一方、使用者(会社側)に対してはこうした“問題児”への対処の仕方を披露している。
・問題とされている行動を容認できないとはっきり伝える
・容認できないことを洗いざらい述べてとことん話し合う
・警告を与えるときは書面で
・警告後も問題行為が続くなら記録する
・解雇する際は人事部と協力する
・解雇にあたっては煩わしい思いをすることを覚悟する
相手が労働組合に加入していたり労働関係の法律に詳しかったりするとひと苦労だし、そもそも職場の雰囲気を壊したくないという思い(言い訳?)から“問題児”を容認してしまうケースが多く見られる。けれど、それは使用者にとっても従業員にとっても何の解決にもなっていないので、リーヴス氏は、臆することなくきちんと話し合って問題を解決しろと言っているのだ。
同氏は、最後に「職場での望ましい振る舞いといっても、大部分は常識的なことでしかない」という独バイエル社のコメントを紹介したうえで、こう述べている。
「『鼻の穴に豆を突っ込んではダメ』とあなたのおばあちゃんがよく言っていたでしょ。要するに、よく考えて行動しなさいということだ」
軽い気持ちで起こした行動が解雇につながるかもしれない。ニューヨーク市の職員のようになりたくなかったら、たとえ周りの人たちがやっていたとしても、慎んだほうがよさそうなのだ。