バイオリン「ストラディバリウス」、楽器史上最高額の4億円で落札。

2006/05/17 23:36 Written by コジマ

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趣味でバンドをやっているため、ぼくも多少はビンテージギターに憧れがある。専門の楽器屋さんでギブソン・レスポールのヒストリック・コレクションなんか見ると、「はあ、いいなあ。なんか知んねえけどいいなあ」なんて羨望の眼差しを注いじゃうのだ。そのヒステリック・コレクションのモデルとなっている1958〜60年に生産されたビンテージ・レスポールは、1本数千万円の値が付くものまであるのだとか。フェラーリが買えちゃうほどのギターなんて、本当にすごいのだ。しかし、そんなビンテージ・レスポールが束になってもかなわない価格で落札された楽器があるのだ。

その楽器とは、バイオリンの最高峰といわれる名器ストラディバリウス。今回落札されたのは、そのストラディバリウスのなかでも最高傑作と言われる「ハンメル」というモデルで、製作者のアントニオ・ストラディバリが最盛期の1707年に作ったものだそう。名前はストラディバリが付けたのではなく、19世紀に所有していたスウェーデン人から付いたのだとか。ニューヨークの競売会社クリスティーズで16日行われたオークションに出品され、落札価格は354万4000ドル(約3億9000万円)! フェラーリどころか豪邸が建てられちゃうのだ。

この落札価格は楽器として過去最高だそうで、それまでの最高額は昨年4月にクリスティーズで落札された同じくストラディバリウスの「レディ・テナント」。203万2000ドル(約2億2000万円)だったというから、今回は1億円以上も記録を更新したのだ。クリスティーズは150万〜200万ドルで落札されると予想していたようだけど、70万ドルから始められた入札はみるみる100万ドルに達し、最後は電話で参加していた2人の一騎打ちになったのだそう。どこの大金持ちが落札したのか気になるところだけど、クリスティーズは落札者を明らかにしていないのだ。

「ハンメル」(報道によっては「ハンマー」「ハマー」とされている)は現存する260のストラディバリウスの1つで、19世紀のスウェーデン人の手を離れたあと1911年に米国に上陸。米国内の多くの所有者を転々として、1992年にたどり着いたのが今回の出品者だったのだ。この出品者は、米国を拠点に活動するバイオリニスト竹沢恭子に昨年まで「ハンメル」を貸し出していたのだそう。4億円弱のバイオリンを演奏した日本人がいたとは……。クリスティーズによると、これからも世界各地の公演に貸し出しされるとのこと。4億円の音色が聴けるチャンスが日本人にもあるかもしれない。

ストラディバリウスは、ストラディバリの没後、市民革命や弦楽器の衰退によりイタリアでの楽器作りが途絶えてしまったため、つまりストラディバリウス以降の新しいバイオリンがしばらくなかったため、その価値が伝説の域まで達している。それゆえに贋作が巷にあふれ、現存するものは260のはずなのに鑑定書付き“ストラディバリウス”が2000以上もあるそうなのだ。ちなみに、「ストラディバリ」が製作したのに何で「ストラディバリウス」なのかというと、製作したバイオリンに「Antonius Stradivarius Cremonenfis」というラテン語名のラベルを貼っていたからだそう。

ビンテージ・レスポールの歴史はたかだか50年程度で、ビンテージ・ギターの最高峰といわれているマーティンのプリ・ウォーD-45でも70年弱。300年の時を経たストラディバリウスにはとてもかなわないのだ。いや、まてよ、D-45やレスポールもあと250年ほど経てば4億円の値が付くのかもしれない。ビンテージ・レスポールのなかには数百万円のものもあるから、今ぼくが奮発して買ってそれを子供に譲り、またその子供へ…と繰り返せば、子孫は結構な財産を持てるかもしれないのだ。いやいや、きっとぼくの性格を受け継ぐであろう子供は、手にした瞬間に売っ払っちゃいそうだ。やっぱり10万円くらいの中古ギターでいいや。

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