米国若年層の地理把握率が低下、日本とNYが同じ割合に。

2006/05/05 07:57 Written by コジマ

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米誌ナショナル・ジオグラフィックなどが18〜24歳の米国人を対象に、地理に関する調査を実施したところ、日本の位置を地図上で正確に示せた割合が49%だったことが分かったのだ。これは中国の69%、インドの53%を下回ったものの、ニューヨーク州の50%とほぼ同率で、米国の若年層は地理に疎いことが明らかになった。

この調査は昨年12月17日から今年1月20日までに、18〜24歳の米国人510人を対象に行われたもので、入念なサンプル選定を行ったため、(同年齢層の)全人口への反映率は95±4.4%だそう。ナショナル・ジオグラフィック誌によると、米国に政治上、軍事上ともに深い関係があるアフガニスタンの地図上の位置を正確に示せた人は10%、イラクが37%、イランが26%、北朝鮮が30%で、2004年に甚大な津波被害が出たインドネシアでも25%しか示せず、日本も49%にとどまった。

逆に、中国やインドは69%、53%と比較的高く、産経新聞の記事では「米国の若者は日本より中国・インド?」という見出しを付けている。しかし、これは国土の広さの問題で、実際、米国内でもニューヨーク州の正確な位置を示せた人は半数、ルイジアナ州は66%、ミシシッピ州は52%と軒並み低いし、05年の訪日する米国人旅行者が過去最高という記事が日経新聞に掲載されているのだ。

また、スーダンがアフリカ大陸にあると答えられた人は46%で、48%がインドの多数宗教をイスラム教だと答え(正解はヒンズー教)、74%が世界で最も使われている言語を英語だと答えている(正解は北京語)。正解率が比較的高かったインドの位置について、同誌は「今後、アウトソーシングの場として大いに検討されているインドは、質問に答えた若者たちがこれから行く場所かもしれない。しかし、47%がその正確な位置を示すことができなかった」としているのだ。

今回、同誌が行った質問のうち、公式サイトで20問に挑戦できるのだ。その質問をちょっとのぞいてみると、
【第1問】 「米国の人口は次のうちどの範囲に入りますか――1. 1000万〜5000万人、2. 1億5000万人〜3億5000万人、3. 5億〜7億5000万人、4. 10億〜20億人、5. 分からない」(正解率31%)
【第2問】 「連続テレビドラマ『CIS』の舞台となっている都市はどこですか――1. サンフランシスコ、2. ラスベガス、3. シカゴ、4. ロサンゼルス」(正解率39%)
【第3問】 「2005年10月に地震によって壊滅的な打撃を受け、7万人が死亡した国はどこですか――1. スリランカ、2. 日本、3. パキスタン、4. メキシコ」(正解率35%、日本と答えている人が20%も!)
【第4問】 「2004年における移民の人口増加率は?――1. 5%、2. 22%、3. 33%、4. 54%」(正解率27%)
【第5問】 「イスラム教徒が国民の大部分を占めるのは次のうちどこの国ですか――1. インドネシア、2. 南アフリカ、3. アルメニア、4. インド」(正解率25%)
などなど。うーん、結構難しいのだ。

この結果に対して、米国地理学会のデビッド・ラザフォード氏は「米国の若者は海外にあまり関心を持っていないようだ」とし、ナショナル・ジオグラフィック誌の母体であるジオグラフィック協会のグラス・リチャードソン専務は、グローバル化において地理的知識は不可欠としたうえで、「驚くべき結果」「大学における地理学のレベルを上げるため、中学・高校で基礎を固める必要がある」としている。また、アメリカン大学国際情勢部のロバート・パストール副学部長は、「多くの若者の世界観が乏しいのにはがっかりした」と話しているのだ。

ナショナル・ジオグラフィック誌は、02年にも同様の調査を行い、その際は米国以外にも日本、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スウェーデン、カナダ、メキシコの8カ国でも18〜24歳に同じ質問をしているのだけれど、優秀だったのはスウェーデン、ドイツ、イタリアで、米国の成績が最も悪かったのだとか。この3〜4年間でほとんど進歩していないことも、こうした関係者を落胆させる原因となっているのだ。

以前、「話を聞かない男、地図が読めない女」(アラン・ピーズ著)という本が流行ったけど、今度は「地図が読めない米国人」という本が書かれてベストセラーになるかもしれない。いやいや、02年の調査で優秀な成績を修められなかった日本人も、決して油断はできないのだ。

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