フランスがお役所仕事を数値化、その名も「カフカ指数」。

2006/05/04 23:58 Written by コジマ

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最近、区役所へ頻繁に足を運んでいるせいか、手続きの煩雑さや能率の悪さがとても目に付くのだけれど、これは日本に限ったことではないようなのだ。フランス政府は相次ぐ「お役所仕事」への批判を打開するため、今秋から仕事の能率を数値化し、公表することを決定したのだとか。その数値の名前は「カフカ指数」。20世紀初頭の文豪の名前を冠し、汚名返上を目指すのだそう。

役所に行くと、とにかく手続きが煩雑。その申請のこの部分はこっちの用紙に書いて別の部分はまた違った用紙に書けだの、その申請はここでは扱えないだの、いちいち面倒くさいのだ。また、目に付くのが能率の悪さ。1つの窓口に行列ができているのに、別の窓口の職員はヒマそうに談笑しているなんてことがしばしば。こうした状況は、作業の効率化と利益率を重視する企業では考えられないものなのだ。それはフランスでも同じような状況だそうで、市民からは批判の声が相次いでいたようなのだ。

こうした状況を打破するために、フランス政府が打ち出した方策は、個人や企業が役所へ申請した際に要した時間などを部署ごとに100段階で示し、それを公表すること。その名前を、「変身」や「城」などで知られる文豪、フランツ・カフカから取って「カフカ指数」とし、能率が悪いほど指数は高くなるようなのだ。

カフカはチェコ出身の文豪。ドイツやオーストリアなんかは縁があるのだけれど、フランスは1911年にパリへ旅行で行っただけ。しかし、実存主義作家であるフランス人のジャン=ポール・サルトルやアルベール・カミュ(タレントのセイン・カミュの大叔父)らが絶賛したこともあって、フランスでもポピュラーな作家とされているのだ。さらに、サルトルとカミュをして「不条理文学」と言わしめたカフカの作品傾向から、今回の命名に至ったのだろう。しかし、指数が高いと「非能率」というのは、カフカがかわいそう……。

また、カフカはプラハ大学で法学博士号を取得しており、当時オーストリア・ハンガリー二重帝国だった政府で労働災害保障局の役人として勤めた経験を生かし、「城」や「審判」などの作品で官僚を批判している。こうしたことも今回の採用の動機となったのだろう。「カフカ指数」の導入を提案したコペ予算・国家改革担当大臣は、「この指数で国際標準規格を目指す」(朝日新聞より)としているので、是非とも日本にも導入してほしいのだ。そうした場合、月並みだけど、「可不可指数」なんて名前になったりして。

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