赤ちゃんの先天異常を引き起こす「妊娠糖尿病」にご注意。

2006/04/21 20:35 Written by コジマ

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日本人女性の肥満率や糖尿病の増加、晩婚化などがニュースに取り上げられているけれど、これらは妊娠によって引き起こされる糖代謝異常=「妊娠糖尿病」につながるとされている。体がつくられていく大事な時期にお母さんの血糖値が高いと、心臓や神経などに異常を持った赤ちゃんの生まれてくる確率が高くなるのだけれど、そんな恐ろしい妊娠糖尿病にかかっている人が、最近増えているのだとか。専門家は、糖尿病の疑いがあって妊娠を予定している女性は、その前に血糖値の測定検査を受けることを勧めている。

妊娠糖尿病とは、妊娠中に発生したか、もしくは検査によって認識さた糖代謝異常(耐糖能異常)を指すのだ。糖代謝異常とは糖尿病になる前段階のこと。妊娠すると代謝が変動しやすくなるため、妊娠前は血糖値が正常でも、妊娠後検査を受けてみたら血糖が基準値を超えていた、なんてことがしばしばあるようなのだ。

朝日新聞によると、1996年から02年に妊娠糖尿病と診断された人の割合は国内出産数の10分の1を占め、96年の0.55%に比べて02年には0.87%と、7年でほぼ1.6倍に増加している(日本糖尿病・妊娠学会調べ)。しかも、この調査で糖尿病と診断された5232人のうち、実に3057人(58%)が妊娠糖尿病だったのだとか。これだけの人が自覚症状なしに(軽度の糖代謝異常なら自覚症状はほとんど出ないけど)妊娠していたのだ。ちなみに、すでに糖尿病の診断を受けている女性が妊娠した場合は、「糖尿病合併妊娠」という。

冒頭でも述べた通り、妊娠糖尿病はお腹の赤ちゃんにさまざまな影響を与え、妊娠中期や後期も血糖値が高いと、心臓病や口唇・口蓋裂、低血糖児、巨大児など深刻な障害を持って生まれる可能性が高まる。先に紹介した調査によると、妊娠糖尿病のお母さんから先天異常を持って生まれた新生児の割合は5%だそう。それだけでなく、お母さん自身も、妊娠中毒や帝王切開に至る危険性が高まるのだ。

こうして妊娠糖尿病が増えている原因として、欧米化された食事や運動不足から来る肥満率の増加が挙げられている。肥満妊婦の妊娠糖尿病発症率は正常体重妊婦の14倍というものや、肥満妊婦の半数が分娩後3年で「本当の糖尿病」にかかっているという調査結果も出ているのだ。また、35歳を超えると妊娠糖尿病にかかりやすくなるため、近年の晩婚化も増加の一端を担っているのだろう。

しかし、妊娠糖尿病になったからといって、出産をあきらめる必要は全くないのだ。食事や運動、薬などで血糖値を管理していけば出産は可能で、大切なのは、自分が妊娠糖尿病なのかどうかを自覚することなのだ。そのためには、肥満だったり糖尿病の家族がいたりなど疑いがある場合は、妊娠前に血糖値の測定検査を受けたほうがよい。

また、妊娠糖尿病などの周産期合併症を予防するには、妊娠前のBMI(body mass index)値が18以上24未満が理想で、妊娠した際の理想の体重増加は、初めての出産の場合は6〜14キロ、2回目以降なら4〜14キロ。これ以上多くても少なくても合併率は高まるのだとか。BMIの計算方法は、体重(kg)÷身長(mの2乗)と簡単〔例えば、身長150センチで体重45キロの人なら、45÷(1.5×1.5)=20となるのだ〕なので、妊娠の予定がある人はBMIのチェックと定期的な血糖値検査が必須なのだ。


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