新タワー完成で収入減、東京タワーが解体の危機に。

2006/04/17 20:07 Written by コジマ

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地上デジタル放送用の電波塔として、東京都墨田区に建設されることが決定した第2東京タワー(すみだタワー)。この新タワーが地上アナログ放送が終了する2011年に完成することによって、東京タワーは52年間務めた電波塔としての役割を終えるのだけれど、その後の“立場”は決定しておらず、最悪の場合は解体される可能性まで出てきたのだ。

新タワーは、墨田区の「業平橋・押上地区」にある東武鉄道の貨物操車場跡地に、08年半ばに着工、11年半ばに竣工が予定されている。建設の目的は、東京タワーの完成当時より高層建築物が増えて電波障害が起きる可能性があるためと、携帯電話などで放送を受信するワンセグ放送には600メートル級の電波塔が必要になるため。高さは610メートルが予定されており、東京タワー(333メートル)の約2倍、カナダのCNタワー(553メートル)を抜いて世界で最も高い建築物になる。“新東京タワー”や“第2東京タワー”と呼ばれているけど、運営母体は東京タワーとは別会社なのだ。

新タワーが完成すれば、現在東京タワーと賃料契約を結んでいる放送局は一斉に移る予定で、全契約が打ち切られた場合、売上高(平成17年3月期で47億円)の4〜6割を失うことになるのだとか。それだけでなく、ZAKZAKの記事にもあるように観光客は“日本で最も高い”から来ているわけで、新タワーは450メートルの位置に展望台を設置する予定(東京タワーの特別展望台は250メートル)のため、東京タワーに思い入れのある人は別として、観光客は激減しそうなのだ。せっかく小説や映画などで入場者が増えたというのに……。

こうした事態は、5年に一度の改修工事にも8億円がかかる東京タワーにとって死活問題となる。東京タワーを運営する日本電波塔は04年、送信アンテナを現在よりも約90メートル高い350メートルの位置に移設することを放送事業者に提示したのだけれど、結局この案は否定されたようなのだ。移設にかかる費用は約40億円だそうで、新タワー建設にかかるといわれている約500億円に比べてずっと低額に抑えられるというのに……。

関係者によると「最悪の場合、維持できず取り壊しもある」(ZAKZAKより)のだとか。東京に生まれ育ち、高層階に住み続けているぼくにとっては、東京タワーは家からの眺望の1つ。なくなるのはとても寂しいのだ。そして、ぼくの実家から近いのんびりした雰囲気の業平橋や押上が、新タワー建設によってヘンな風に変わってしまうのは避けて欲しいなあ。

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