「携帯に注意程度で虚偽申告しない」、痴漢冤罪の男性敗訴。

2006/04/10 22:58 Written by コジマ

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電車内で女性に痴漢行為をしたとして現行犯逮捕され不起訴となった東京都国立市の元会社員男性が、被害を申告した女性と国、都に対して約1100万円の損害賠償を請求していた裁判で10日、東京地裁八王子支部の松丸伸一郎裁判長は請求を棄却したのだ。その理由は「携帯電話の使用を注意された程度で虚偽の痴漢被害を申告するとは、普通考えられない」というもの。男性側は控訴する方針だとか。

男性は、1999年9月にJR中央線の電車内で当時20歳の女子大生に下半身を押しつけたとして、東京都の迷惑防止条例違反で現行犯逮捕されたのだけど、立川署で21日間拘置・拘留された後、嫌疑不十分で不起訴処分となった。つまり、犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分だとされたのだ。

そのため、男性は「虚偽の申告で、証拠もないのに不当に逮捕、拘置された」として被害を申告した女性と国、都を相手取り、約1100万円の損害賠償を求める民事裁判を起こした。そりゃそうなのだ。刑事事件として“無罪”に等しい不起訴処分だったのだから。男性は「三鷹駅付近で女性の携帯電話の使用を注意したところ、国立駅で下車した際にその腹いせに痴漢だと虚偽申告をした」と主張していた。

しかし、東京地裁八王子支部の松丸裁判長は「女性の供述は実際に行為を受けなければわからない内容で信用でき、痴漢行為があったと認められる」と、刑事裁判とは逆に“痴漢認定”。女性の供述の信用性から、警察の逮捕、検察の拘置請求はやむを得ないとし、男性の請求を棄却したのだ。

男性については「逮捕時に無実を弁解せず、氏名や住所を黙秘するなどしたのはきわめて不自然で、不当逮捕の主張は虚偽と認められる」、刑事裁判で不起訴となったことについては「検察官が、当時の捜査資料では公判維持が困難と判断したことが理由で、訴訟での尋問などによれば痴漢行為は明らかだ」とし、男性の主張に対しては「携帯電話の使用を注意されるようなことで虚構の痴漢被害を申告するとは、通常想定できない」(東京新聞より)と判断した。

刑事裁判の際、検察官の判断が正しいかどうかは分からないし、男性の主張が本当のことなのかどうかも定かではない。女性の供述の信用性が高いのも認めるとして、それでも棄却の理由が「携帯電話で話しているのを注意されたくらいじゃ、『痴漢しました』なんてウソを言うわけない」というのは、あまりにも現実に即していない判断。最後の一文は余計だったんじゃないかな。犯罪者は許せないけど、的確かつ納得のいく理由で判決を下してほしいのだ。

痴漢は下劣で罰せられるべき行為だし、その半面、痴漢えん罪が増えているのも大きな問題。痴漢を目的としていない健全な男性は、満員電車に乗るなら両手を挙げるだけでなく、できるだけ女性と離れたほうがよさそうなのだ。

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