国際組織犯罪などを追う英国版FBI、SOCAが発足。

2006/04/04 06:40 Written by コジマ

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英国では麻薬密売やマネーロンダリング(資金洗浄)、人身売買、金融詐欺などの組織犯罪による損害が深刻な問題となっており、英政府が2004年に発表した白書によると被害額は年間約500億ポンド(約10兆2000億円)にまでのぼるという。そんな英国で3日、こうした国際組織犯罪に対応すべく、英国版の米連邦捜査局(FBI)とも言える重大組織犯罪庁(Serious Organized Crime Agency;SOCA)が発足したのだ。

英国にはFBIのような中央警察がない(スコットランド・ヤードの愛称で有名なロンドン警視庁は、その名の通りロンドンのみを管轄とする)ため、警察の管区や国境を越えて活動する犯罪組織に手を焼いていたのだ。そこで、97年に国家犯罪情報部(National Crime Interlligence Service;NCIS)と国家犯罪対策局(National Crime Squad;NCS)を組織し、国際的組織犯罪に対する情報をNCISが、捜査をNCSが担当したが、麻薬や移民の取り締まり関しては専門部局があるため、捜査の足並みがそろえられないでいた。

今回組織されたSOCAは、この複数の部局にまたがった職務を統括し、新たに諜報捜査や司法取り引き、証人保護プログラムの利用できるようになるとのこと。まさにFBIのような組織なのだ。ただ、FBIとは違ってテロや殺人事件の捜査は含まれていない。組織的には情報局保安部(SS、通称MI-5)やロンドン警視庁と同じく内務省の管轄となり、警察や税関、入国管理局などから選りすぐりの人員4000人を配備するのだとか。初代長官にはMI-5の元長官であるスティーブン・ランダー氏が、次官にはNCSの元長官であるビル・ヒューズ氏がそれぞれ就任した。

完璧に見えるSOCAだけど、職員に与えられる警察官、税関職員、入国管理官としての権限は、重大詐欺捜査局や歳入・関税局の捜査と重なった場合は、この2局の許可を得ずに行使できないなど、まだまだ一本化されていない部分もあるのだ。

ブレア首相が「わが国を組織犯罪の専横から解放することが最優先」(CNNより)というように、相次ぐテロと組織犯罪によって疲弊した英国の救世主になるのか、とても興味深いのだ(くどいようだけど、テロへの捜査権はないのだ)。日本も導入すればいいのになあ。そういや、BBCのドラマに「NCI マンハント」というのがあるけど、もし続編がつくられるなら「SOCA マンハント」になっちゃうのだろうか。

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