エベレスト清掃、欧米アジア登山グループが隊結成へ。

2006/03/13 08:29 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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登山家ならやっぱりいつかは登ってみたい世界最高峰のエベレスト。しかし近年、増え続ける山登りの人々のためにこの美しい山がゴミなどで汚されていると聞きます。

食料の包装紙や酸素ボンベ、ロープ、さらにはテントなどの粗大ゴミや、氷に包まれたまま保存状態になっている遺体なんかもあるそうで……。これらは山の片方の斜面だけでも、重さににして50トンにもおよぶのだとか。

このゴミ問題に対応するためにネパールは高額の罰金制度を設けたのですが、どうも一部の人々は「登頂達成」という自分自身のゴールに心を奪われるがために、それ以上に大切な環境保全までには気が回らないようです。そして捨て続けられる不用品。一向に改善されないことに業を煮やしたネパール政府は結果として、何度も自国の警察隊員を使い清掃活動を行うハメになったんだとか。しかしこれは大変危険の伴う作業であり、実際に命を亡くした方もいると聞きます。いやはや困ったものだ。

そこでこの世界一高い山に残されたゴミの山。これを何とかしようと世界各国の登山家の有志が集まり、今度清掃作業をすることにしたそうです。そうだよ、そうでなくっちゃ。今年4月に韓国、日本、フランス、イタリア、オーストリアから集まった国際メンバーが合同で実施するそうで、一部の登山ルートを清掃しつつ通過するのだとか。

そういえば日本を代表する登山家野口健氏も、いままでに日本やアジアの清掃隊を結成し計4回の清掃登山をしているそうです。彼の公式サイトを読むと、そのゴミのほとんどが残念なことにアジア登山家が近年大量に捨てていったものだそうで、野口氏はそれに対してとても心を痛めているそう。そして次のように語っています。

「エベレストは世界最高峰であると同時に、アジア大陸最高峰なんですね。そのアジア最高峰にアジア人が大量のゴミを置いてきているという現実は、すごく問題だと思った。なかでも、経済的にもアジアのリーダーと目される日本の行動は、世界中の人が見ていると思うんです。だからこそ、アジアの人を集めた国際隊で清掃したかった。ただ僕は、エベレスト一つを綺麗にするつもりもないし、何100トンと雪の中に眠るすべてのゴミを回収するなんて不可能だということもわかっている。このエベレストの清掃活動が、日本人の、あるいはアジア人の環境に対する意識が変わっていく小さなきっかけとなれば、と思っているんです」

今回の清掃登山も過酷な環境での作業となるようですが、彼らの行動が他の登山家のモラル向上、さらには私たち日常生活にも環境についての取り組みにも影響するよう、願わずにはいられませんね。


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