「一澤帆布」のお家騒動に進展、かばん製造・販売は当面中止。

2006/02/25 15:40 Written by コ○助

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「若者を中心に人気を集めるかばんブランド『一澤帆布』に、お家騒動が起きている」。そんな話が出たのは昨年12月のこと。1905年に京都に創業した老舗のメーカーながら、京都大学の学生や修学旅行で京都を訪れる中高校生などの間に口コミで人気が広がり、今ではすっかりファッションアイテムのひとつとして全国区の人気を獲得している「一澤帆布」だけに、お家騒動の勃発は世間の注目を集めることになったなりね。

お家騒動の内容はこうなり。2001年に他界した先代の一澤信夫前会長が残した「一澤帆布工業」の約10万株の相続をめぐって兄弟同士が争いを繰り広げ、裁判沙汰にまで発展。主な登場人物は上から信太郎氏、信三郎氏(一澤帆布工業社長=当時)、喜久夫氏で、先代の遺言書には株の5分の4(約8万株)を信太郎氏に、5分の1(約2万株)を喜久夫氏に相続する、といった内容が記されていたなりが、2001年時点ですでに社長を務めていた信三郎氏が遺言状の無効を求めて民事訴訟を起こしていたなりよ。ただ、裁判は信三郎氏が敗訴、遺言書通りに信太郎氏と喜久夫氏が相続することになったなりね。

そして昨年12月に臨時株主総会が開かれ、大株主となった信太郎氏と喜久夫氏が現社長の信三郎氏と取締役3人、そして監査役の解任を一方的に決定。信三郎氏は製造部門の社員のほとんどを新たに設立した会社「一澤帆布加工所」に転籍させたなりが、「一澤帆布」の商標は信太郎氏と喜久夫氏側が握っているため、「従来通りの製品を作ることができる職人がいても商標を使えない新会社」と、「職人はいないけど商標は持っている旧会社」の二つに分裂する事態に発展し、泥沼化の様相を呈していたなり。

ここまでが昨年12月の時点で明らかになっていたことなりが、お家騒動に少しばかり進展があったようなりよ。「一澤帆布加工所」の信三郎氏が別のブランド名でかばん製造を始める方針を表明。これまでは「一澤帆布工業」の工場を間借りするカタチで製造を続けてきたなりが、これも打ち切り、3月からは新しい工場での製造をスタートさせることにしたようなり。「品質は従来と同じだが、ブランド名は異なる」道を歩むことになったなりね。ちなみに、職人がゴソッと抜けてしまった「一澤帆布工業」側はかばんの製造ができない状態が続くため、当面は「一澤帆布」ブランドのかばんは市場に出回らなくなりそうな気配なりよ。

でも、これで一件落着とはいかないようで、「一澤帆布工業」側は「損害を与える」として、新会社に対して類似かばんの製造差し止めなどを求める法的手続きをとる意向を明らかにし、さらなる混乱に発展する可能性が強まってきているなりよ。ファンにしてみれば職人のほとんどが入れ替わり、品質が変わってしまう「一澤帆布」にはそれほど魅力を感じないはず。かといって、従来と同じようなデザイン、品質のかばんの製造を法的にストップされた新ブランドのカバンにも魅力を感じるのは難しくなりそうなり。どちらに転んでも、ファンには悲しい結末しか残されていないなりね……。

せっかくモノが良く、多くのファンを獲得してきたのに、お家騒動によってすべてが破たんしてしまうかもしれない「一澤帆布」。結末はどこへと向かうのか、もう少し注目しておきたいところなり。

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