「道州制に賛成」は57%、地域に合う政策に期待の声。

2006/02/25 14:29 Written by コ○助

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最近、新聞やテレビで話題になることが多い「道州制」をご存知なりか? 「道州制」とは、地方分権を進める方法のひとつとして議論されている制度のこと。簡単に言えば、現在の47都道府県を分解して、より広域的な「道」や「州」に統合及び再編することで、国が持つ予算やさまざまな権限を地方に移譲しようという制度のことなりよ。税金を一度国にまとめて地方に再分配したりする手間や、法律や制度を決める際の拙速感を解消させることが大きな狙い。実現すれば明治時代の廃藩置県以来の大改革と言われているなり。

いまの「東京都」や「大阪府」などの枠組みを撤廃する……という、初めて聞くと「そんなことあり得るの!?」と驚くのも不思議ではない制度なりが、これは古くは昭和30年代頃からは存在していた考え方。でも、議論が活発になったのはここ数年のことで、制度の内容には異論を孕みながらも、基本的には自民党や民主党も制度の導入自体には前向きな姿勢を示しているなりね。与党と最大野党が乗り気ならすぐ成立する? かと言えばそう簡単な話でもなく。再編の舞台となる地方からは賛否両論、各都道府県の利害関係なども複雑に絡んでいることから、仮に国として制度をまとめたとしても、実現へは険しい道のりが待ち構えているなりよ。

具体的にどのような再編が行われるのか、興味がある人も多いと思うので、現在出ているいくつかの案の中から9道州案、11道州案、13道州案の3つの区分けだとどうなるのかを見ておくことにするなり。(※いずれもWikipediaより)

[9道州案]
北海道(北海道)
東北(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)
北関東(茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、長野県)
南関東(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県)
中部(富山県、石川県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)
近畿(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)
中国・四国(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県)
九州(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県)
沖縄(沖縄県)

[11道州案]
北海道(北海道)
東北(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)
北関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、長野県)
南関東(千葉県、東京都、神奈川県、山梨県)
北陸(新潟県、富山県、石川県、福井県)
東海(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)
近畿(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)
中国(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県)
四国(徳島県、香川県、愛媛県、高知県)
九州(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県)
沖縄(沖縄県)

[13道州案]
北海道(北海道)
北東北(青森県、岩手県、秋田県)
南東北(宮城県、山形県、福島県)
北関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、長野県)
南関東(千葉県、東京都、神奈川県、山梨県)
北陸(新潟県、富山県、石川県、福井県)
東海(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)
近畿(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)
中国(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県)
四国(徳島県、香川県、愛媛県、高知県)
北九州(福岡県、佐賀県、長崎県、大分県)
南九州(熊本県、宮崎県、鹿児島県)

現在、首相の諮問機関である地方制度調査会の小委員会がまとめ、議論が活発に交わされているのは主にこの3案。この3案は小委員会が今月16日にまとめたばかりの最新のものなりが、早速各県の知事からは異論が噴出しているなりよ。例えば石川県の谷本正憲知事は「地理的条件、歴史的な経緯、経済的なつながりを考えると、石川、富山、福井の北陸3県が一つの圏域を構成するのが望ましい」(読売新聞より)、富山県の石井隆一知事は「今回のような大きな行政区域を持つ区割り案では、住民が一体感を持てるのか疑問だ」(同)、長野県の田中康夫知事は「(北関東に分類されているが)南部の県民にとっては、中部州になじみが深いかもしれない」(同)などなど。

強引に線引きをすることで反発が出るのは予想の範囲内であるとはいえ、各地の声を無視して制度だけ導入するわけにもいかず。仮に制度の導入が決まったとしても、誰もが納得できるものではないことは明らかなりよね。

ちなみに、東京新聞には道州制の利点と問題点について有識者に聞いた記事が出ていたので、簡単に要点をまとめておくなり。

[道州制の利点]
・「東京からお金が来る」ことを当然のように感じている地方が「自立」を取り戻す。
・地方の存在感が増すことで、対外的なアピールがしやすくなる。
・内政を地方で完結させることによって、ムダな支出を抑えることができる。

[道州制の問題点]
・区分けの議論だけが先行し、その先の議論(税制など)が全くと言って良いほど行われていない。
・抱える人口が多すぎる州が出てくるため、自治体の統制が上手く取れる保証がない。
・存在意義が薄れる中央省庁からの反発が厳しい。

結局、地方分権を推し進めるという理想は高いものの、まだ何ら実行に移せるほどの具体性が伴っていないのが問題、というのが現状なり。

この道州制について、日本経済新聞が地域の企業・事業所トップに対して賛否の調査を行っているなりよ。これによると、道州制に「賛成」「どちらかと言えば賛成」を合わせた回答は全国平均で57.8%となり、「反対」「どちらかと言えば反対」の12.0%を大きく上回ったなりね。地方からの期待はかなり大きいと、数字の上では判断できそうなりか。

実際に制度が施行されるとしても、実現するのはかなり先の話。でも、こうした議論が着々と進んでいることは、しっかりと把握しておきたいなりね。皆さんは道州制の導入には賛成? 反対?

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