フィギュア女子で荒川静香が金、トリノ五輪日本初のメダル。

2006/02/24 08:07 Written by コジマ

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史上初の最終グループに2人が残ったトリノ冬季五輪フィギュアスケート女子シングル。フリーが23日(日本時間24日)に行われ、ショートプログラム(SP)で3位だった荒川静香選手(プリンスホテル)がアジア人初の金、そしてトリノ五輪日本勢初となるメダルを獲得したのだ。総合2位はサーシャ・コーエン選手(米国)、3位はイリーナ・スルツカヤ選手(ロシア)で、SP4位だった村主章枝選手(avex)は総合でも4位と健闘、SP8位だった安藤美姫選手(中京大中京高校)は4回転サルコウだけでなく3つのジャンプに失敗し、総合15位に終わった。

「トゥーランドット」を演じた荒川選手は、3回転サルコウ−3回転トゥループを予定していた最初のコンビネーションを3回転ー2回転に変更するなど慎重を期し、3回転フリップ、2回転アクセル、2回転ループ、コンビネーションをすべて成功。ミスのないジャンプと「世界最高」といわれるイナバウワーなどの隙のない演技で125.32点のパーソナルベスト(自己最高点)をたたき出し、合計で191.34点。今大会の女子フィギュア初めてのスタンディングオベーションがわき起こったのだ。この瞬間に勝利を確信したのではないだろうか。パーソナルベストのなかで198.06点という史上最高記録を持ちながら、2度の五輪で金メダルが取れなかったスルツカヤ選手は、今大会でも金を逃した。また、SPで機械のように正確な演技で1位となっていたコーエン選手は、右脚付け根を痛めてるとの情報通り、動きに精彩を欠いていたのだ。

得点全体の3分の2を占めるフリー。2分40秒の演技時間にジャンプとスピン3種類ずつ、ステップ2種類、8つのエレメンツ(要素)を盛り込まなければならないSPと違い、4分という長い演技時間に内容が自由なフリーは、全体の調和と独創性、曲想の表現などが採点のポイントになるのだ。しかし、ジャンプ失敗に対する減点が厳しくなった新採点基準により、ミスの少なさが採点の要となっていた。コーエン選手とスルツカヤ選手が相次いで転倒するなか、荒川選手はこの点で完璧だったのだ。

総合4位の村主選手はコンビネーションジャンプでミスをしたものの、3回転トゥループ決め、自慢のスピンも完璧にこなしたのだ。こちらもスタンディングオベーションがわき起こったが、113.48点、合計175.23点とメダルに一歩及ばなかった。 

注目の安藤選手は、1位のサーシャ・コーエン選手との差は10.73点と絶望的な点差だったが、基礎点が9.5点と高い4回転サルコウを武器に大逆転をねらっていた。しかし、レイバックスピンのあとに挑戦した4回転サルコウは回転が足りず転倒。3回転ルッツ−2回転トゥループのコンビネーションジャンプには成功したものの、後半はスタミナが切れてスピードも落ち、3度ジャンプに失敗。8位だったSPより順位を落とし、総合15位となったのだ。

いやあ、荒川選手は本当にすごかったのだ。無難とも言えなくないものの、隙のないすばらしい演技で今大会日本初のメダルをもたらした。メダルがすべてではないけれど、やはり表彰式に「君が代」が流れるのは本当にうれしかったのだ。また、惜しくもメダルを逃した村主選手の柔らかい演技も素晴らしかったし、安藤選手の4回転もわずかに回転が足りなかっただけで、もうちょっとだったのだ。3選手とも本当にがんばったのだ。おつかれさま。

日本代表3選手のコメント

荒川選手
「いまだに信じられない。まさかメダルが取れると思ってなかった」
「パーソナルベストが2年振りに更新できて嬉しかった」
「1つミスがあったけど、楽しく滑ることができてよかった」
「SPから冷静に臨めた。自分の演技ができればいいと思っていた」

村主選手
「やれるだけのことはやったので、満足はしてます」
「今後の課題だと思うので、今日の結果を受け止めたい」
「自分の力を出せるところまでがんばりました」
「すごくたくさんのお客さんがいたので感謝しています」

安藤選手
「すごく疲れました」
「(4回転サルコウを)回った時はいいかなと思ったけど、挑戦できただけでよかった」
「もうちょっと笑顔で滑りたかった」
「練習で4回転を入れなかったので不安があった」
「雰囲気の違いがSPでもわかった」
「この大きな舞台で100%の力を出したかったが、初めての五輪で4回転に挑戦できてよかった」

そのほか、ソルトレークシティー大会でスルツカヤ選手を破り金メダルを獲得したサラ・ヒューズ選手の妹、エミリー・ヒューズ選手(米国)は3回転ループで転倒したものの、パーソナルベストの106.31点で総合7位、スイスのサラ・マイヤー選手は同8位、最年少16歳のキミー・マイズナー選手(米国)とエレーネ・ゲデワニシビリ選手(グルジア)はそれぞれ同6位、10位、地元イタリア代表のカロリーナ・コストナー選手は地元の大声援を浴びてSP11位から総合9位に上昇したのだ。

また、総合5位入賞のジョアンヌ・ロシェット選手(カナダ)が演じた「愛の賛歌」は、中継していたNHKの実況担当の刈屋富士雄アナウンサーが大好きな曲だそうで、演技中しばらく実況を忘れていたのだ。


☆総合得点トップ10

1位  荒川静香(日本) 191.34点
2位  サーシャ・コーエン(米国) 183.36点
3位  イリーナ・スルツカヤ(ロシア) 181.44点
4位  村主章枝(日本) 175.23点
5位  ジョアンヌ・ロシェット(カナダ) 167.27点
6位  キミー・マイズナー(米国) 165.71点
7位  エミリー・ヒューズ(米国) 160.87点
8位  サラ・マイヤー(スイス) 156.13
9位  カロリーナ・コストナー(イタリア) 153.5点
10位  エレーネ・ゲデワニシビリ(グルジア) 151.46点

15位  安藤美姫(日本) 140.20点

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