中津江村の純金鯛などが盗まれる、被害額は数千万円。

2006/02/14 09:36 Written by コジマ

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2002年の日韓共催サッカー・ワールドカップの際にカメルーン代表のキャンプ地として有名になった大分県・旧中津江村(現日田市中津江村)の観光施設「地底博物館・鯛生(たいお)金山」で13日、同施設の目玉展示物である純金製の鯛の置物1体がなくなったのだ。そのほか、貴金属売り場で金のネックレスや指輪なども消えており、時価5000万円といわれる鯛の置物と合わせて被害は数千万円にものぼるそう。大分県警の日田署は窃盗事件として捜査を開始した。

盗まれたとみられる純金(24金)製の鯛の置物は雌雄一対のうちのオス(重さ30キロ)で、メス(同20キロ)より一回り大きく、5000万円相当という。80年間に金約40トン、銀約160トンを産出し1972年に閉山した鯛生金山の跡につくられた博物館の目玉で、92年に約1億円かけて制作。縁結びや商売繁盛の御利益があるとして、昨年には7万人の観光客が訪れている。

13日の朝に職員が出勤したところ、貴金属売り場の窓ガラスが割られてるのを発見し、坑道へ急行。入り口の門にかかっていた鉄製の錠が壊されており、60メートル先にある「黄金の洞窟」にあったオスの鯛がなくなっているのを発見したのだ。12日午後5時の閉館時には異常はなかったが、13日午前1時にセンサーが作動。宿直していた嘱託警備員が館内を見回ったのだけれど、異変に気づかなかったのだそう。鯛の置物のほかにも金のネックレスや指輪など数十点が盗まれており、被害総額は数千万円にのぼるという。日田署は鯛の重量や2カ所に侵入している点から、複数の犯行ではないかとみている。

博物館にはほかにも、元カメルーン代表のエムボマ選手らが大会で使用したシューズを純金の溶液につけて加工した「黄金のシューズ」なども展示されているのだけれど、時価5000万円の置物や価値のあるものを展示しているわりには警備体制が甘かった観が否めないのだ。鯛の置物もガラスケースのなかに展示されていたわけではなく、金箔の浮く池のにある石台の上に置かれているだけだったそう。何でもセンサー付きのケースに入れて展示するのはよくないけれど、1億円もする置物の管理としては少しずさんな気がするのだ。

博物館を運営する中津江村地球財団の坂本休理事長(カメルーン代表の出迎えで有名な元中津江村村長)は「金の鯛は村の宝。カメルーン代表も以前、金の鯛を見て感激していた。村の心が盗まれてしまってむなしいし、みじめだ。犯人には必ず罰が当たるから、反省して早く返してくれるとよいのだが……」と、肩を落としている様子。もう溶かしちゃった、なんてことがないよう、祈るだけなのだ。

ちなみに「鯛生」という地名の由来は、約800年前に豪族の田島氏と肥後の菊池氏とに縁談がまとまった際、菊池家が嫁入り先の田島家への手土産として雌雄一対の鯛を持参したところ、この地に着いたとたんに躍り上がり、石の上に向き合ってしっかりくっついてしまい、その石は「鯛が生まれ変わった石」として「鯛生石」と言われるようになったことから来ているのだとか。今回盗まれた鯛の置物も、この伝説をかたどってつくられているのだ。また、中津江村の南部には、鬼の伝説で有名な酒呑童子山がある。

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