先月あたりからチラホラと出始めていた、米ディズニーによるCG制作大手のピクサー買収の噂。かつて蜜月の間柄だった両社も収益の配分や契約内容をめぐる確執が表面化、2004年1月に提携解消が正式に発表され、今年6月に全米公開予定の「Cars」(日本公開は7月)が両社による最後の作品となる予定だったなりよね。ところが、ピクサーとの対立を演じてきたディズニー強硬派のマイケル・アイズナーCEOが昨年辞任したことをきっかけに、両社は再び接近。噂どおり、24日にディズニーがピクサーを買収し、アニメ制作部門を統合することが正式に発表されたなりよ。
各紙の報道によると、株式交換方式で行う買収総額は74億ドル(約8,500億円)。これによりピクサーの会長兼CEOにして、株式のうち50.6%を保有するアップル・コンピュータのスティーブ・ジョブズ会長兼CEOがディズニーの個人筆頭株主となり、役員にも就任することになったなりね。一部では将来的にはディズニーのCEOになるのではないか、との憶測も飛んでいるようなりが、もしそうなったらアップル、ピクサー、ディズニーと、なんと華麗な経歴を歩むことになるなりかね……。
映画の面でいえば、今回の買収劇はピクサー&ディズニーファンにとっても良い話。「トイ・ストーリー」「ファインディング・ニモ」「モンスターズインク」など、数々の名作を世に送り出してきたピクサーがディズニーから離れて同じような作品を製作できるのかという不安が解消され、また、ディズニーにとっても興行的に不振が続く自社製作の作品が強化されるのは間違いないなりからね。以前、「トイ・ストーリー3」(2008年公開予定?)の企画がピクサー抜きで行われることが
発表されているなりが、ピクサー買収によってこの企画も検討しなおすことになるかもしれないなりよ。
また、ジョブス氏がディズニーの役員に就任したことは、アップル・コンピュータのコンテンツ戦略にも大きな影響を与えそう。早速「iTunes Music Store」には、これまでなかったディズニーの短編が10作品追加されているね(米国のみ購入可能)。今後も随時追加されているはずなので、将来的には動画対応の「iPod」でディズニーの映画や数多あるアニメ作品を視聴……ということも現実味を帯びてきたなりよ。
ディズニーとピクサー、そしてアップル・コンピュータも含めた3社と、キーマンになりそうなジョブス氏の動きから目が離せないなりね。
☆ディズニーとピクサーが共同制作した作品
1995年「トイ・ストーリー」
1998年「バグズ・ライフ」
1999年「トイ・ストーリー2」
2001年「モンスターズ・インク」
2003年「ファインディング・ニモ」
2004年「Mr.インクレディブル」
2006年「カーズ」