ドラマ「古畑任三郎ファイナル」、3作そろって高視聴率獲得。

2006/01/07 06:13 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


3〜5日に3夜連続で放送されたフジテレビ系ドラマ「新春ドラマスペシャル古畑任三郎ファイナル」(主演・田村正和、脚本・三谷幸喜)。同シリーズの最終スペシャルということもあり、3作そろって高視聴率を獲得したのだ。まず、石坂浩二と藤原竜也が出演した3日放送の第1夜「今、甦る死」が関東地区の平均視聴率が21.5%、米大リーグ、シアトル・マリナーズのイチロー外野手の演技初挑戦が話題だった第2夜「フェアな殺人者」が同27.0%、高視聴率の女王・松嶋菜々子が出演した本当の最終話である第3夜「ラスト・ダンス」は同29.6%をたたき出した。「今、甦る死」の21.5%でも、同じく三谷幸喜脚本のNHKドラマ「正月時代劇『新選組!!・土方歳三最期の一日』」(3日放送、9.8%)など他の年明け特番ドラマの視聴率を大きく引き離したのだ。

第2シリーズから人気に火が付いた「古畑任三郎」は単発スペシャルでも毎回高視聴率を獲得し、特に、SMAPが全員出演した「古畑任三郎 vs SMAP」(1999年1月放送)は32.3%という驚くべき数字をたたき出している。今回は「最後の新作放送」、「初の3夜連続放送」、「イチローのドラマ初出演」などの要素から、かなりの高視聴率が期待できた。残念ながら「古畑任三郎 vs SMAP」にはかなわなかったものの、「ラスト・ダンス」がシリーズ歴代3位、「フェアな殺人者」が同7位に入る高視聴率を獲得、「今、甦る死」も新春ドラマでは4位のTBS系「里見八犬伝・前編」(2日放送、17.0%)を大きく引き離していたのだ。ちなみに、シリーズ歴代1位は、当時ドラマの女王だった山口智子が出演した第2シリーズの最終回スペシャル「しばしのお別れ」(1996年3月放送、34.3%)。

視聴率もさることながら今回の内容も興味深く、「今、甦る死」では、三谷幸喜にその意図はなかったものの、同シリーズでは初の放送まで犯人が明かされない趣向が新鮮で、複雑な内容だった。もっと視聴率が高くてもよかったんじゃないかなと思うくらいなのだ。祟りを装った殺人事件を古畑任三郎(田村正和)が理知的に解き明かすのだけれど、対照的に、祟りにおびえるきる今泉慎太郎巡査(西村雅彦)が愛らしい。

ぼくが一番期待していた「フェアな殺人者」は、演技初挑戦のイチローが本人役、そして犯人役で出演。イチローのファンだという古畑任三郎が“フェアプレイ”で挑む、まさにイチローvs古畑任三郎だったのだ。イチローの演技は危なっかしいところはあったものの、ベテラン俳優を前に堂々と演技していた。また、準レギュラーの向島くん(小林隆)が長く出演していたのは、マニアにとってたまらなかっただろう。ちなみに、イチローは当初ハチローの役名で出演依頼が来ていたのだけれど、本人が本名(ではないけれど)での出演を希望したのだそう。

最終話となる「ラスト・ダンス」は、松嶋菜々子が双子の売れっ子脚本家を2役で演じた。松嶋が演じた双子のうち、妹の大野かえでにデレデレの古畑任三郎が見ものだったのだ。デレデレになりながらも犯人を突き止め、苦痛ながらも追い込んでゆく。最後に明かされるトリック(?)はわかりやすかったものの、「うわあ、よくできた話だなあ」と感心してしまったのだ。

それにしても、3話とも大好きな今泉くんの魅力が大爆発で、ぼくとしては大満足。やっぱり今泉くんあっての古畑さんだし。余談だけど、今泉くんとは正反対のヤリ手側近・西園寺くん役の石井正則(アリtoキリギリス)が離婚していたのにはちょっと驚いたのだ。

それにしても、イチロー外野手の演技力には、もっとひどいことになっていると思ったのでびっくりしたのだ。番組の公式サイトに掲載されている出演者のイチローに対するコメントを抜粋すると、

「彼は素晴らしいですよ、人間的にも。僕は、欠落した部分がいっぱいある人間ですけど、彼は完成された人間ですよ。それでいて、あくまでも純粋だし、ひとつのことに一生懸命だしね。なんといっても、本番のときの集中力はホントに凄かったですね。」、「この芸能界は、素人も玄人もないからね。俳優なんて誰でも出来る仕事だし、むしろ素人さんの方が面白い場合もあるわけだから…。イチローさんは、堂々とやってましたよ。期待以上でしたね。」(田村正和)
「初ドラマとは思えないですよね、あんなに堂々たる演技で。嫌になっちゃいますよ ( 笑 )。やっぱり、一流の人は違うな、と思いました。」(小林隆)

むむむ、まあ、悪いことは言わないだろうけど、ずいぶんと絶賛されているのだ。DVDを繰り返し見てセリフを覚えるほど「古畑」ファンのイチロー本人は、

「最初は、もの凄く怖くて…お話をいただいて、「じゃあ、やりましょう」ってなった時、もちろん嬉しかったんですけど、全く知らない世界だし、僕自身も全くの素人ですから、怖かったんです。」
「古畑さんが近づいてくるのを見ただけでシビれましたよ。感動しました。それは、今泉さんや西園寺さん、向島さんの時もそうだったんですけど、僕にとってはテレビの中の世界でしかなかったわけですから。ちょっと震えましたね。」
「これは僕にとって非常にありがたいことだったんですけど、やっぱり嫌なものだと思うんですね、違う畑の人間がヒョコって現れて…。『ふざけんな!』って思うじゃないですか、普通は。僕だったら思うんですよ ( 笑 )。僕の世界に素人がやってきて、いくら真面目にやるつもりだとは言っても、それは馬鹿にしたくもなると思うんです。でも、そういう雰囲気が一切なかったんですよね。そこがホントに嬉しかったし、器の大きな方たちなんだな、って思いました。」
「台本をもらったその日から、自分なりに何としても覚えていかなくてはいけない、という思いがあったんです。それがおそらく唯一、僕が見せられる礼儀というか誠意だと思ったので、それだけはやっていきたかったんです。」
「試合で守っているときなんですけど、僕は外野手なので、球が飛んでこないことも多少…というか結構たくさんあるので ( 笑 )、グラブで口を隠しながら『古畑さん』って言ってみたりしていたんです ( 笑 )。」

うーん、野球の天才も演技に関してはもの凄く緊張していたようなのだ。しかし、真摯な態度は本当に立派。「次にドラマ出演のオファーがあったら?」という質問には「そんなことはあり得ない話ですよ ( 笑 )。」と一笑に付しているのだ。

また、三谷幸喜が「もう出し尽くしちゃった」とコメントし、「今回が最後」と銘打っているものの、どうしても期待してしまうのが続編。それについて田村正和は、

「(今回で最後ということは)嬉しいですよ。やっぱり、少しは寂しいですけど、いまは本当に嬉しいですね。テレビドラマとしては、かなりしんどいドラマだったので。」
「(また作られる可能性があるのでは? という質問について)そうなの?いや、もうないでしょう ( 笑 )。」
「一時期ね、(三谷幸喜が)『田村さんが続けるんだったら、湯水のようにアイデアが出てきます』って言ってたんだけど、もう枯れたみたいね ( 笑 )。」

なんてコメントしているのだけれど、

「今回で終わりですけど…まだあるかもしれないですけど…忘れないでね ( 笑 )。」(小林隆)
「まあ、そんなことはないでしょう ( 笑 )。フジテレビだって、そんなに簡単には止めないと思いますよ ( 笑 )。まだまだ、いろんな役者さんもいるし、( 一度出演した役者が ) 違った役で出たって面白いと思いますよ。『帰ってきた古畑任三郎』とかあってもいいじゃないですか。『ウルトラマン』シリーズだってあそこまで続いたんですから ( 笑 )。」(石坂浩二)

なんて声もあるのだ。うーん、「帰ってきた古畑任三郎」……イカす……それに期待なのだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.