王様、ビートルズの直訳カバーをリリース。

2005/12/23 15:10 Written by コジマ

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60〜70年代ロックの日本語直訳カバーを手がけ、海外にもファンが多い王様。1995年に発売されたデビューアルバム『深紫伝説』(ディープ・パープルのカバー)がレコード大賞企画賞を受賞し、その後もレッド・ツェッペリン(『鉛の飛行船伝説』)、ローリング・ストーンズ(『転石伝説』)、ビーチボーイズ(『浜っ子伝説』)、KISS(『接吻伝説』)など大御所バンドのカバーをリリースしてきたのだけれど、デビュー10周年の今年、ついにビートルズの直訳カバー『カブトムシ外伝』が発売されたのだ。

ジャケットはビートルズのセカンドアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』を模しており、収録曲は、
1. ひねってワオ!(ツイスト・アンド・シャウト)
2. お願い郵便屋さん(プリーズ・ミスター・ポストマン)
3. 踊るベートーヴェン(ロール・オーヴァー・ベートーヴェン)
4. 君に首ったけ(ユー・リアリー・ガット・ア・ホールド・オン・ミー)
5. リジーにクラクラ(ディジー・ミス・リジー)
6. 月光おじさん(ミスター・ムーンライト)
7. 長身サリー(ロング・トール・サリー)
8. 男子(ボーイズ)
9. ゼニー(マネー)
の直訳に加え、
10. 米とげ、ザ〜ッと(カム・トゥギャザー)
11. Hey 柔道一直線(ヘイ・ジュード)
の替え歌のようなオリジナル曲、そして最後は、月光おじさん〜ひねってワオ!〜お願い郵便屋さん〜月光おじさん〜君に首ったけ〜踊るベートーヴェン〜長身サリーの
12. カブトムシキングメドレー
となっている。うーん、「ロング・トール・サリー」の邦題「のっぽのサリー」をあえて避けて「長身サリー」としているのが面白いのだ。ちなみに、ピンクフロイドの「マネー」は「カネー」と訳しているのだそう。

「ひねってワオ!」で「ツイスト・アンド・シャウト」の「Come on come on come on come on baby」を「おいでおいでおいでおいで、赤ちゃ〜ん」としているように、全曲「baby」を「赤ちゃん」と訳しているのがポイントなのだとか。現在、音楽総合サイトBARKSで全曲試聴できるのだけれど、「長身サリー」で「「ロング・トール・サリー」の「I'm gonna tell Aunt Mary 'bout Uncle John He says he has the blues but he has a lotta fun. Oh baby」を「メリー姉さんに教えよう、旦那のジョンが浮気をしていた赤ちゃん」としており、赤ちゃんの前までかっちょよかったのに一気にガクッとしてしまうところが、王様が単なる直訳ミュージシャンではない所以なのだ。

さらに、最後の「カブトムシキングメドレー」はプロモーション・ビデオが試聴できるのだけれど、このPV、ビートルズが初期に出演した米CBSのバラエティー番組「エド・サリヴァン・ショウ」を模しているのだ。メンバー全員を王様が演じ、ちゃんとジョン・レノンの“ガニ股演奏”も再現され、メンバー紹介のテロップにジョンの部分は「SORRY GIRLS HE'S MARRIED:」と入れられるなど、マニア心をくすぐられるつくりとなっている。また、歌だけでなくギター演奏も王様が担当しているようで、「踊るベートーヴェン」のイントロをはじめ、さすがサポートギタリストの前歴を持つだけあってとても上手いのだ。

このPVを見て王様を生で見たくなった人は、今月25日の「ひとりクラスマスライヴ in 鎌倉」(@ティピティーナ)、来月7日の「新春ひとりライヴ in 埼玉・日高市」(@ル・ボラン)、翌日の「マーシャル・プレゼンツ・王様 in 浜松」(@ザザシティ浜松)、来月20日の「ひとりライヴ in 千葉・茂原市」(@ふぇるまあた)などで会えるので、足を運んでみてはいかが?(詳細は公式サイトの「王様タワー」参照 )

それにしても、今回の選曲はビートルズ初期の名曲ばかりなのだけれど、「ツイスト・アンド・シャウト」はアイズレー・ブラザーズ、「プリーズ・ミスター・ポストマン」はマーヴェレッツ、「ロール・オーヴァー・ベートーヴェン」はチャック・ベリー、「ユー・リアリー・ガット・ア・ホールド・オン・ミー」はスモーキー・ロビンソン&ミラクルズ、「ディジー・ミス・リジー」はラリー・ウィリアムス、「ミスター・ムーンライト」はドクター・フィールグッド・アンド・インターンズ、「ロングトール・サリー」はリトル・リチャード、「ボーイズ」はシュレルズ、「マネー」はバレット・ストロングがそれぞれオリジナルで、ビートルズのオリジナルは一曲もないのだ。カバーした曲がカバー曲だったとは、偶然なのか、それとも狙ったのか……。まあ、「60〜70年代ロックの日本語直訳ミュージシャン」を標榜する王様にとって50年代が中心のこれらの曲は、「ビートルズの曲」としてじゃないとリリースできなかったのかもしれないのだ。


※「カブトムシ外伝」がすべてビートルズオリジナル曲のカバーでない理由について、「ビートルズの音楽の版権を持つアップルレコードが原曲に使われている英語以外でのカバーは認めていないため、その権利が及ばないビートルズがカバー曲をカバーした」のだそうです。英語でも歌詞を変えちゃいけないんですねえ。たくさんのご指摘ありがとうございました(こちら参照)。

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