三洋電機、2年後も使える次世代充電池を発表。

2005/11/02 09:00 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


三洋電機は1日、充電式ニッケル水素電池の新製品「eneloop(エネループ)」を発表したのだ。充電式ニッケル水素電池の弱点だった自己放電(放置しておくと徐々に残存エネルギーが減ること)を極版材料などの改良で大幅に改善し、2年後でも75%残存するという。この特性を生かして販売時にはすでに充電されており、購入後すぐに使えるというメリットもあるのだ。また、電池から梱包まで環境に配慮したものを使用し、経営再建を目指す同社が掲げる新経営方針「Think GAIA」(環境配慮・社会貢献などを念頭に商品を開発していくこと)に沿った第一弾商品となっている。

デジタルカメラの販売台数が頭打ちになっているなか、順調に推移しているのが、その動力となる電池。乾電池(一次電池)の手軽さもよいけど、経済性を考えるとやはり充電池(二次電池)を使いたいのだ。従来の充電式ニッケル水素電池でも、コストパフォーマンスだけでなく電池のパワーを示す放電容量がアルカリ電池と同程度で、特にデジタルカメラなどの大電流を必要とする機器に使う場合は、松下電器の「オキシライド」に代表されるニッケル電池よりも大幅に高いのだ。そんな充電式ニッケル水素電池も、充電してから時間が経つと使っていないのに残存エネルギーが減っていくという自己放電や、充電時間が必要なこと、買ってすぐ使えないこと、寒さに弱い、充電とともに容量が劣化するなどの欠点がある。このうち自己放電、買ってすぐ使えない、劣化、寒さに弱いの4点を克服したのが、今回発表された「エネループ」なのだ。

現行品が半年後に75%、1年後にはほぼゼロになるのに対し、エネループは半年後は90%、1年後が85%で、2年後でも75%と高い残存率を維持しているので、もちろん使えば減るけど、充電なしで長期間の保存が可能となっている。このため、充電して出荷することができ、買ってすぐに使えるようになったのだ。また、充電回数500回で60%の容量に劣化する(充電回数は容量60%を保つ回数を表示している)現行品と比べエネループは2倍の1000回。摂氏マイナス10度でも使用できる(現行品は0度で放電容量が減少)ため、ゲレンデでの高パフォーマンスも期待できるのだ。

もちろん充填容量も現行品(1900ミリアンペアアワー)より多い2000ミリアンペアアワーとなっており、デジタルカメラでの実験では乾電池の4.4倍の枚数を撮影できたというから、まさに次世代電池の名前に相応しいスペックなのだ。充電時間は230分、価格は単3形2個入りが1155円、単4形2個入りが945円で、充電器と単3形2個のセットはオープンプライスとなっている(実勢価格は1980円ほどになる見込み)。単3形が今月14日、単4形が来年1月21日に発売予定。

さらに同社は、世界最大容量の充電式ニッケル水素電池「Ni-MH 2700シリーズ」の発売も決定したのだ。充填容量は単3形で2700ミリアンペアアワー、単4形(Ni-MH 1000シリーズ)で1000ミリアンペアアワーとなっており、価格はそれぞれ2個入りで1260円、1050円、4個入りで2520円、2100円。ちょっと割高感があるけど、大容量なうえ充電式なのでコストパフォーマンスは高いのだ。今月21日に発売される。

デジカメだけでなく、ハードディスクプレーヤーが隆盛を極めるなか頑固にポータブルCDプレーヤー(専用充電池なし)を使い続けているぼくにとって、この大容量、高耐久性の充電池の登場は非常にありがたいのだ。松下電器も自己放電を抑えた充電池を来年2月に発売することを発表しており、これからどんどん高スペックの充電池が登場するかもしれない。今度は充電時間の大幅な短縮を、消費者の身勝手として望んでしまうのだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.