たばこ自販機に規制、電子マネー付きICカード導入へ。

2005/10/28 08:57 Written by コジマ

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未成年者の主なたばこ購入先となっている自動販売機。販売者と対面しないため気軽に買えるのが現状で、その対策として日本たばこ協会、全国たばこ販売協同組合連合会、日本自動販売機工業会の業界3団体は27日、2008年末までに全国に約62万台ある自販機を、成人だけに発行されるICチップ付きカードがないと購入できない機種に順次置き換えていくことを発表したのだ。カードには写真が印刷されるほか電子マネー機能を付加する見込みで、来年度から発行される。

2003年末の調査によると、たばこの自動販売機は全国に62万6200台あるそうで、これは15万台という米国の4倍。国土や人口に対する比率を考えると驚異的な数字なのだ。その売り上げは、飲料に次ぐ1兆9784億4102万円。このうち未成年者に対する売り上げも入っているのだ。

今回の新しい自販機に使われるICカードは1人につき1枚、無料で発行され、日本たばこ協会に郵送で申し込むほか、コンビニエンスストアやたばこ販売店などの店頭での受け付けも検討している。申し込みには身分証明書のコピーが必要とのことだけど、他人への貸与を防ぐために顔写真が印刷されるというから、免許を取りにいくときのように顔写真も必要になるのかもしれないのだ。電子マネーの入金方法は、自販機でできるようにするもよう。

もちろん、店頭でたばこを購入する場合は、今まで通りカードの提示は不要。その理由として、日本たばこ協会は「店頭では罰則規定がある未成年者喫煙禁止法で年齢確認が義務づけられており、身分証明書の提示を求めるなどして未成年者の購入は防げる」(朝日新聞より)としているけど、実際、身分証の提示を求める店舗がどれだけあるか、ちゃんと調査したほうがいいのだ。

喫煙経験のある高校3年男子の75.7%が自販機でたばこを購入しており(2000年度、厚生労働省調べ)、未成年者の喫煙の温床になっているのだ。1996年には、たばこ販売業者が組織する全国たばこ販売協同組合連合会がたばこ自販機の深夜販売を自粛を開始したのだけれど、さらに有効な方法として今回の規制機導入に踏み切った。業界はたばこのイメージ回復に必死なのだ。

すでにお酒の自販機では、屋外設置のものについて成人識別機能がついた改良型に置き換えが2000年から行われており、国税庁の調べよると、03年4月現在で全体の約3割に達しているそうなのだ。

日本たばこ協会ほか3団体は、2002年に非接触ICカードを利用した成人識別機能付たばこ自販機を開発し、同年、千葉県八日市場市でICカードとともに試験導入した。これは、世界保健機関(WHO)が作成したたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(たばこ規制枠組み条約)にわが国が批准したこと(国会承認は04年)が大きく影響しているのだ。さらに、04年には鹿児島県種子島の1市2町でICカードに電子マネー機能を付けたものを導入している。その結果、喫煙者の70%がカードを取得し、喫煙による未成年者の歩道件数が減るという効果があったそうなのだ。ちなみに、種子島で発行されたカードに付いている電子マネー機能の愛称は「タネィ」。うーむ。名前から察するに、Edy方式なのではないだろうか。

新自販機の導入はカードの発行や携帯の煩わしさが気になるけれど、「新機種への置き換え後、未成年の購入防止に効果が認められれば、自主規制している深夜販売の制限を解除することも検討したい」(朝日新聞より)という、嬉しいニュースも。深夜族の喫煙者には朗報なのだ。

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