英音楽賞、Qアワード発表。

2005/10/11 06:17 Written by コジマ

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今年で16回目を迎えた英音楽雑誌「Q」主催の音楽賞「Qアワード」の授賞式が10日、ロンドンのグロブナーハウスホテルで行われたのだ。ベスト・アクト・イン・ザ・ワールド・トゥデイ部門にコールドプレイが、ベスト・アルバム部門にオアシスの「ドント・ビリーヴ・ザ・トゥルース」が選出されるなど、各賞とも比較的順当な結果となったようなのだ。また、発表の前日に65回目の誕生日を迎えたジョン・レノンに特別賞が贈られたのだ。

Qアワードは1990年に始まった音楽賞で、英国ではブリット・アワード(2月発表)やマーキュリー・ミュージック・プライズ(9月発表)などとともに毎年開催されており、英国の音楽ファンの間では10月の楽しみなイベントとなっているのだ。最注目のベスト・アクト・イン・ザ・ワールド・トゥデイ部門には、コールドプレイ、グリーン・デイ、U2、オアシス、ミューズがノミネート。この部門は読者やファンによるQ誌のウェブサイト「Q4music.com」 での投票によって決まるのだけれど、今年の音楽賞総ナメのグリーン・デイやライブ8などの活動で高い評価を得たU2を抑えてコールドプレイが受賞した。また、ベスト・ライブ・アクト部門はU2が受賞。コールドプレイはフジロックで観たのだけれど、熱狂と荘厳の両面を持つ素晴らしいステージだったのだ。サマーソニックで観たオアシスも、ライブ8の放送で観たU2やミューズも、MTVビデオ・ミュージック・アワードの放送で観たグリーン・デイのステージもすごくよかったけど、ファンでないぼくが感動したコールドプレイのステージはこの部門の受賞に相応しいと思うのだ。

ベスト・アルバム部門は、マーキュリー・ミュージック・プライズを受賞したコールドプレイの「X&Y」やカイザー・チーフスの「エンプロイメント」などを抑えてオアシスの「ドント・ビリーヴ・ザ・トゥルース」が受賞したのだ。プラチナディスク連発ながら英放送局BBC 6 Musicの投票「過大評価されているアルバム」の2位に選ばれた「X&Y」と、素晴らしいアルバムだけど新人のファーストアルバムである「エンプロイメント」が相手では、内容はともかく世界が待ち望んでいた「ドント・ビリーヴ・ザ・トゥルース」の相手ではなかったようなのだ。オアシスは、読者投票によるQピープル・チョイス部門も受賞している。それにしても、「X&Y」の過大評価は多くの人が感じているようでほっとしたのだ。同投票で1位に選ばれたニルヴァーナの「ネヴァーマインド」には納得いかないけど。ちなみにベスト・アルバム部門は、ライブ8でコールドプレイと共演したリチャード・アシュクロフトがプレゼンターを務めた。

今年の音楽賞でビジュアル部門を受賞しまくっているゴリラズがベスト・ビデオ部門(「フィール・グッド・インク」)とベスト・プロデューサー部門(「ディーモン・デイズ」)を受賞。ゴリラズのライブはDVDにもなっているのだけれど、一見の価値ありなのだ。さらに、Qイノベーション・イン・サウンド賞にはプロディジーが輝いている。オアシスに酷評されているプロディジーだけど、彼らの斬新な楽曲は「革新的なサウンドの賞」に相応しいのだ。また、Qアイコン賞にはジミー・ペイジが選出されているのだけれど、この理由はよくわからないのだ。来年にソロ・アルバムが発売されるからかなあ。Qレジェンド部門では今年ニュー・アルバムを出したニュー・オーダーの前身であるジョイ・ディヴィジョンが、クラシック・ソング部門では英国4大ロック・バンドの一角であるザ・キンクスのレイ・デイヴィスが作曲した「ウォータールー・サンセット」が受賞したのだ。

そして、今年のQアワード最大の目玉が、生誕65周年を迎えたジョン・レノンへの贈賞だろう。Q特別賞の授賞式には夫人のオノ・ヨーコが登場し、「私はジョンにここにいて欲しかった。彼もそれを望んでいるでしょう」とスピーチ。また、7日に日本で行われた「 ジョン・レノン スーパー・ライヴ」の前にも語った、「ジョンは生前『なんでポール(・マッカートニー)の曲はよくカバーされるのに、ぼくの曲はされないんだろう』とこぼしていた」という秘話を披露したのだ。「ジョン・レノン スーパー・ライヴ」といえば、ステージで忌野清志郎が語った「この国の憲法を知ってるかい? 平和を訴えているんだ。ジョンと同じじゃないか」には感動したのだ。

今回の授賞式では、仲が悪いことで有名なオアシスのリアム・ギャラガーとコールドプレイのクリス・マーティンの対立は表面化しなかったもよう。クリスが「ぼくが嫌いなのはジョージ・ブッシュだけだ」としているように、この対立はリアムが一方的にクリスを嫌っているのが原因だと思っていたのだけれど、クリスは某誌の記者に「リアムと闘う準備ができていない」と語っていることから、対立が本格化する可能性もあるのだ。お兄ちゃんのノエル・ギャラガーはコールドプレイのファンなのに……。


<各部門の受賞者>

●ベスト・ニュー・アクト部門(Best New Act) ジェイムス・ブラント

●ベスト・トラック部門(Best Track) KT・タンストール「ブラック・ホース・アンド・チェリー・ツリー」

●Qクラシック・ソング部門(Q Classic Song) レイ・デイヴィス(ザ・キンクス)「ウォータールー・サンセット」

●ベスト・ライブ・アクト部門(Best Live Act) U2

●ベスト・アルバム部門(Best Album) オアシス「ドント・ビリーヴ・ザ・トゥルース」

●Qピープルズ・チョイス部門(The Q People's Choice) オアシス

●ベスト・プロデューサー部門(Best Producer) ゴリラズ/デンジャー・マウス「ディーモン・デイズ」

●ベスト・ビデオ部門(Best Video) ゴリラズ「フィール・グッド・インク」

●ベスト・アクト・イン・ザ・ワールド・トゥデイ部門(Best Act In The World Today) コールドプレイ

●Qバースデイ・オーナー部門(The Q Birthday Honour) マイケル・アーヴィス

●Qアイコン賞(The Q Icon Award) ジミー・ペイジ

●Qクラシック・ソングライター部門(The Q Classic Songwriter Award) ニック・ケイヴ

●Q生涯功労賞(The Q Lifetime Achievement Award) ザ・ビージーズ

●Q最優秀貢献賞(The Q Outstanding Contribution To Music Award) ポール・ウェラー

●Qイノベーション・イン・サウンド賞(The Q Innovation In Sound Awards) ザ・プロディジー

●Qレジェンド部門(The Q Legend) ジョイ・ディヴィジョン

●Qインスピレーション賞(The Q Inspiration Award) ビョーク

●Q特別賞(The Q Special Award) ジョン・レノン

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