迷惑クラゲやザリガニ、食材としてお役立ちに。

2005/10/03 10:29 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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エビ、ナマコ、クラゲなど「海洋無脊椎動物」ネタに遭遇するとすぐに反応してしまうウォール真木。今日も日本にいる姉とチャットをしていて「エチゼンクラゲ」の話題が出て来た時には、やはり心の触手がうごめいてしまいました。

エチゼンクラゲ。数年前から日本海や三陸沖に大量に漂流し、この地域の漁業に大変な被害をもたらしているハタ迷惑な生きものだそうです。底引き網などに入り込み、その重さで網が壊れたり、せっかく捕まえた魚がクラゲの毒で汚染され売り物にならなくなったりと、漁師さんたちには本当に困った存在なんだとか。

「でも、たかがクラゲで何故そんな大騒ぎに?」

という当初のウォール真木の疑問も、直後にエチゼンクラゲの画像を検索して速攻解決。……デカイ(汗)。かさの大きさが1メートル以上に育つこの種のクラゲは、重さが200キロ近くにもなるんだとか。こんなのが網に大量に引っかかったら、確かに網が破けます。

それにしても、このエチゼンクラゲ。色だけは可愛らしくピンク色なんですね。図体に似合わず愛想だけはあるようで(笑)。ってか、逆に薄気味悪いですが。

さてこの漁業には大迷惑な巨大クラゲですが、それでもせっかくだから何かの役に立たないかと考えた人々がおります。幸いこのエチゼンクラゲは中華食材として知られておりまして、食材としての質は最高級なんだそうです。そこで、京都・伊根漁業協同組合加工課ではこのクラゲを使った和え物や寿司などを開発、加工品の「きざみ塩くらげ」を今年4月から販売しているそうです。

さらに鳥取県の産業技術センター食品開発研究所ではクラゲから抽出したコラーゲンエキスの入った「クラゲしょう油」を商品化するために研究が続けられているそうです。クラゲにはこの他にも窒素やリンなど有機成分が豊富に含まれており、これをダイコンの栽培に試験的に利用する農家もあるそうです。

そういえば、このクラゲと似たような話題で北海道の阿寒湖のザリガニのニュースもありました。阿寒湖といえば特別天然記念物のマリモが有名ですが、これらの生物を脅かすウチダザリガニという大型の外来種が数十年前から生息するようになったそうです。これを駆除しようと地元では、毎年約4トンほどを水揚げ。これを「レイクロブスター」という特産品として、最近首都圏などに卸しているのだそうです。カリスマ・シェフ、三國清三氏のレストランでもソース仕立てで出されており、味のほうは泥臭くもなくエビとカニの中間のような美味しさなんだそう。

しかし処理に困ってしまう厄介者も、アイデア次第で食べ物として利用しちゃうというこの発想は、日本特有の柔軟で豊かな食文化の賜物ですねぇ。さすがにアメリカ人は絶対に食べようとは考え付かないし(笑)。

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