オアシスのリアム・ギャラガー、インタビュー。

2005/08/26 10:07 Written by コジマ

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今月のCROSSBEAT(10月号)では、ライブ・レポートやトレント・レズナー(ナイン・インチ・ネイルズ)、ベック、フー・ファイターズ、ニュー・オーダーなどへのインタビューなど、2大ロック・フェスティバルであるFUJI ROCK FESTIVAL'05とSUMMER SONIC 05の大特集をしているのだけれど、そのなかで、サマーソニックで圧倒的な力を見せつけたオアシスのリアム・ギャラガーへの独占インタビューが掲載されているのだ。来日直前のインタビューなのでサマソニに関する話題はないものの、日本への思いやステージを途中で降りてしまう理由などを、珍しく素直に話しているのだ。

インタビューの脇に掲載されている写真には、たぶん大阪会場であろうサマソニの楽屋での様子が写されており、四角い黒縁メガネをかけたリアムが兄・ノエルと和気あいあいと話している。仲が悪いことで有名な兄弟だけど、そんな良好な状態を裏付けるように、今回のツアーでの具合を訊かれて、「調子いいよ、凄く! これまでのツアーの中で一番いいんじゃないかな」と答えるリアム。サマソニでの神々しいまでのライブは、この良好なケミストリーから醸造されたものなのだ。

ロック・フェスティバルについての質問では、
「初めて観に行ったフェスは……グラストンベリーじゃなかったかな。ごめん、違う。(1994年に行われた英国の)T・イン・ザ・パークだ」
「(そのときの出演者は? と訊かれ)オアシスさ! フェスティバルに出るのも観に行くのもそれが初めてだったんだ」
「もちろん俺たち目当てじゃないファンもいるわけだけど、それで緊張するってことはないよ。そんなんで緊張する奴は出なきゃいいんだ。フェスは最高だよ。他のバンドを観たり、会って話せるチャンスでもあるし」
「(昨年の)グラストンベリーでポール・マッカートニーに会ったな。とても普通の……いい奴だった」
「(2001年に出演したフジロックについて)あれはいいフェスだったね。会場に行くまでの道のりが凄く長かったんだ。山道がクネクネしてて、車が崖から落ちるんじゃないかと思って冷や冷やしたのを覚えてる」

日本の印象については、「日本は大好きだよ」としたうえで、「テレビで見ることくらいしか日本のことは知らなかったからさ。どこに行ってもとにかく人が多くて、凄くマッドな場所だと思っていたよ。実際に初めて来た日本には、驚かされた。マッドな映画の中の世界みたいでね。もの凄いエネルギーが一杯で、とんでもないところだと思った」。日本に来た外国人はみな言うけど、モンスターバンドのフロントマンが驚くほどのエネルギーが日本にあるのかなあ……。国内にいるとイマイチ分からないのだ。ぼくらがインドや東南アジアに行ったときに感じるエネルギーと一緒なのだろうか。日本のよい点として、「ファッションも最高だしな」、「買い過ぎちまうんだ。日本の服は凄くいいからね」、「服は日本だぜ絶対」と日本のアパレルを絶賛。さらに、「(日本人は)本当に素晴らしい人たちだよ」とし、日本の食べ物についてはスシや牛丼、ラーメンがお好みらしく、特に牛丼については「あれは好きだったよ。白いご飯の上にビーフがのってるやつ。ビューティフル!」とお気に入りみたいなのだ。逆に日本の好きになれない点は、蒸し暑いことと静電気だそうで、世界中でも日本、それも東京でしかビリリとならないのだそう。

日本のライブ会場については、日本武道館、クラブクアトロが印象に残っているようだけど、横浜アリーナについては「広過ぎて音が聴きづらいんだ。ファンの顔が見えるくらいがいいよ」とあまりよくなかったようなのだ。「日本でやるなら小さいギグの方がいい。今度やりたいね」とコメントしているのだけれど、オアシスが小さいハコでライブをしたら観られない人が続出なんだろうなあ。観てみたいけど。

リアムはライブの途中でステージを降りることがしばしばあって、今年のサマソニでも最大の懸念事項だったし、東京会場は開演が40分遅れたときも「ぜったいモメてるんだ」と観客が噂するほどだったのだ。日本でも過去に福岡公演(2000年と2002年)でわずか3曲でステージを去っているのだけれど、そのことについては長い言い訳をしているのだ。
「(今年イタリアで行われたフェスでの降板について)あの時は喉の調子が悪くて、もう歌えなかったんだ。何も言わずにステージを降りたわけじゃないよ。医者からはギグはキャンセルした方がいいって言われてた。でもフェスティバルだから、ファンをがっかりさせたくなかったんだ。それで喉の炎症を抑えるためにステロイドを処方してもらった。でも4曲歌ったところで、もう全然声が出なくなってさ。歌うこともできなくなっちまったんだ」
「(福岡公演も)喉のトラブルさ。それ以外の、モメてるとかそういう原因じゃないんだ。歌えなくなったらもう歌えない。俺にはどうすることもできない。それだけだ」
インタビュアーはこれ以上つっこんでないけど、福岡公演の主催者であるSMASHは、公式に「リアム・ギャラガーが公演途中ステージ上で、バンドメンバー間との感情問題でステージを降りた事」と発表しているのだ。うーむ。でも、こんなウソ臭い言い訳を言うなんてリアムらしくないのだ。心を入れ替えて(一時的かもしれないけど)、過去の行為の反省をしている証拠かな。

インタビューはこのほか、最近お気に入りの若手バンドや最優秀ブリティッシュ・ソングに「ワンダーウォール」が選ばれたことへの感想などを訊いているのだけれど、翻訳のせいなのか、英誌「NEM」のインタビューのときのようなヒドイ対応はどこへやら。すごく素直に(ウソもあるけど暴れずに)答えていることにびっくりしたのだ。

今年のサマーソニックでは最高のステージをみせてくれたオアシス。これからもずっとこの最高の状態が続いてほしいのだ。

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