6月15日に企画予告をしてからまだ9日間しか経っていませんが、今回でこの企画も7回目。毎回5作品ずつ紹介しているので、今回で早くも30作品を紹介することになります(1回目は告知だったので紹介なし)。少しずつ皆さんのオススメ作品を積み上げて、最終的には100作品くらいのリストを作りたいと密かな野望を抱いています。まだまだ先は長いですが、マイペースで更新していくことにしましょう。(文・編集 Narinari.com編集部)
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古谷実 「僕といっしょ」】
「僕がツボにハマったのは古いですけど『僕といっしょ』ですね! 4巻で完結してるんですけど内容が濃く、暗い設定ですがそれを感じさせないくらい面白いです! 『稲中』を書いた古谷実先生の作品は全体的に好きです。」(タケさん)「行け! 稲中卓球部」で一世を風靡した古谷実が、「稲中」の次回作として描いた作品が「僕といっしょ」。1998年から「ヤングマガジン」(講談社)に連載されていました。「稲中」のインパクトが強すぎたため、世間的には「稲中の陰に隠れた作品」と見られてしまいがちですが、古谷実ファンの間では「稲中以上」と推す人もいるほど、愛されている作品です。ストーリーは実母の他界を機に、かねてから虐待を受けていた義父のもとを離れた二人の兄弟が東京で孤児と出会い、ヤングホームレスとして生活していく……という、かなり暗めの設定の物語ですが、そこをドロドロとした悲観的な物語にしないのが古谷実の凄さ。「稲中」テイストを踏襲したギャグを散りばめ、全体としては陰惨なストーリーにはならずに済んでいます。古谷実の作品は「稲中」しか読んだことが無い、という人にこそ読んでみて欲しい作品です。
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吉田秋生 「BANANA FISH」】
「バナナフィッシュ! 少女漫画雑誌に連載されていた、ハードボイルド漫画。バスで漫画読むと酔ってゲロってしまう私が、唯一面白くて夢中になりすぎて吐かずにバス乗車完読した漫画。」(ぴーまんさん)
「吉田秋生『BANANA FISH』を強烈PUSH! 掲載紙が少女マンガ誌でしたが、男女問わず読めるかと。」(まりもさん)
「バナナフィッシュあたしも好きです! リヴァー・フェニックスに似せて書いていたのでよく読んでました!」(ライラさん)1985年から9年間に渡って「別冊少女コミック」(小学館)に連載されていた超人気少女マンガ。連載当時、ブームを巻き起こした作品なので、男性でも読んだことがあるという人は多いかもしれません。ライラさんもコメントで触れているように、この作品の主人公のアッシュ・リンクスは、映画「スタンド・バイミー」で注目を集め、23歳の若さで急逝したリヴァー・フェニックスがモデル。何においても完璧な美少年が主人公というのはいかにも少女マンガらしい設定ではありますが、ニューヨークを舞台に、ストリートキッズの抗争や男同士の友情を描いた、なかなか熱い作品です。少女マンガのカテゴリーの作品とはいえ、男性でも楽しめると専らの評判。ラストは涙無くして語れない感動作です。
ちなみに、吉田秋生は
「『ラヴァーズ・キス』がおすすめです。短編なのでちょっとした時間で読めると思います。おそるべき構成力と、その展開に驚かされると思います。」(たすくさん)とのオススメもいただいています。
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石川雅之 「もやしもん」】
「石川雅之『農大物語もやしもん』。菌が見える主人公が入学した農大でいろんな目にあうお話。」(ぽ・てとさん)「農大物語」のタイトルでスタートした「もやしもん」は、2話目で「農大物語もやしもん」、3話目で「農大物語あらためもやしもん」と改名が続き、4話目以降でようやく「もやしもん」に落ち着いたという、珍しい経緯を持つ作品です。現在も「イブニング」(講談社)に連載されています。ぽ・てとさんがコメントで触れているように、主人公は「菌」が見えてしまう農大生。擬画化されて登場する「菌」が可愛らしく、また、「菌」のうんちくが豊富に語られており、あまり普段触れることのない「菌」の世界を垣間見ることができます。単行本はまだ1巻しか出ていませんが、Amazon.co.jpでは「在庫切れ」の状態が続いており(6月24日現在)、書店などでもほとんどその姿を見かけることがありません。重版されないハッキリとした理由は分かりませんが、早く簡単に手に入れられる状況になることを願うばかりです。
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にざかな 「B.B.joker」】
「にざかなの『B.B.joker』。四コマ漫画。絵は普通に少女漫画。けど、シュール。バカバカしい。笑えます。中学の頃、リアルタイムで読んでいて腹がよじれるほどツボったものでした。」(アリスさん)
「白泉社から出てるにざかな『B.B.Joker』。とりあえず腹抱えて笑いたい時はこれ。可愛い絵にブラックジョーク&オヤジギャグが素敵です(笑)」(日下部桜さん)「LaLa」(白泉社)に連載されていた四コママンガ。女性向きの優しい絵とは裏腹に、その内容は時に過激に、時にえげつなく、時にバカバカしく、時に下品にと、さまざまな表情を見せてくれます。四コママンガ好きな人は、ぜひチェックしてみてください。ちなみに、著者のにざかなは1人のマンガ家ではなく、ネタ担当のにざ、絵担当のかなの2人組。
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東風孝広(画)・田島隆(作)・青木雄二(監修) 「カバチタレ」】
「カバチタレです。ドラマになったので、知っている人は多いけど、実は原作はもっと泥臭く、そもそも主人公は男だし……。お話は、行政書士事務所に勤める1人の青年を軸に、非常に濃いメンバーが依頼者からの問題を法律を武器に解決していきます。カネ・酒・女・暴力・裏切り……持ち込まれる相談は、重いネタばかり。人間社会の暗い部分を、見事にえぐりだしています。この本が教えてくれるのは、法律とは、弱いものを守ってくれるのではなくて、知っている人を有利にするための道具にすぎない、という事です。といっても法律を使いこなせるのは、立場的に強い人ばかり。庶民には法律なんてとても遠い遠い存在であることが多いのが現実です。それを良いことに、悪人がのさばり善人が泣きを見る、というのも現実。だまされるのは、知らない奴が悪い、じゃあ、だまされたら泣き寝入り……? そうはさせない! と、身近な法律家である行政書士事務所のメンバーが、一刀両断に問題を解決! と、必ずしもいかないこともあるのも、この漫画の奥深いところです。法律は、生き馬の目を抜く時代に生きる人にとっての必須のアイテムです。まず、トラブルになったら法律家に相談すること。その知恵だけでも身に着けましょう。」(bonkoraさん)深津絵里主演でドラマ化(フジテレビ系)されて高視聴率を記録。また、かなりの頻度で再放送もされているので、その名前の認知度は高いであろう「カバチタレ」ですが、bonkoraさんが説明してくれたように、実は原作の主人公は男、そして舞台も東京ではなく広島だったりします。法律を駆使して悪に立ち向かう行政書士の物語という意味では同じですが、基本的には別モノと考えて読んだほうが楽しめるかもしれません。今は亡き青木雄二が監修として携わっていた上に、著者の東風孝広も青木雄二のアシスタントを務めていた経験を持つため、作風が極めて「ナニワ金融道」に近く、良い部分を受け継いでいる感じの作品です。肩肘張らずに法律知識が身に付けたい人はぜひ。
(つづく)