手のひら静脈認証の学生証、千葉工大で導入。

2005/06/23 05:50 Written by コジマ

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変形移動ロボット「チャリべえ」の開発など先端技術の開発で有名な千葉工業大学(千葉県習志野市)が、今年4月にすでに発行しているICカードの学生証と手のひらの静脈パターンで本人を確認するシステムを7月から導入するそうなのだ。

静脈による生体認証(バイオメトリクス認証)は東京三菱銀行や広島銀行、池田銀行のATM、スルガ銀行の窓口業務、東大病院の情報管理部門への入室管理などで採用されているのだけれど、大学での利用は世界初なのだとか。このシステムは大学構内に5台設置されている情報キオスク端末で利用でき、ICカードの学生証を挿入し手のひらをかざすと、学生番号や所属学部、成績、取得単位などの個人情報が表示される仕組みになっているのだ。将来的には、成績証明書の発行や実習室への入室管理、講義の出欠確認、はたまたSuicaやEdyといった学外のサービスとの連携も検討中だそう。うーむ、授業に出ないで遊んでばかりいる“不良学生”が切り札にしている「代返」ができなくなってしまうかもしれないのだ。そのうちノートも静脈認証で管理されて貸し借りできなくなっちゃったりして。

同大で採用したシステムは、東京三菱銀行などが導入している富士通と大日本印刷のもの。富士通製の手のひら静脈認証は、機械に触れずに手をかざすだけで読み取ることができるのだ。日本ではこの富士通+大日本印刷のほか、日立製作所と凸版印刷で開発した指先での静脈認証システムがあるのだ。

静脈パターンは人により異なり、大きさ以外は生涯変わらないという特徴を持っているのだ。声紋や顔、筆跡などによる認証は本人でも他人とされはじかれる確率が高いのだけれど、静脈認証ではその精度が高いのだとか。そして、誤認率は眼の虹彩認証と同じ0.0001%で、指紋認証(0.001%)より正確。また、血流を確認する装置も開発中とのことで、そうなれば海外で報じられている認証で使う部位の複製やその部位を得るための殺人などの事件も減るのではないだろうか。

同大は、システム導入を学内全体の情報セキュリティー強化施策の一つとしながらも、「学生の個人情報保護に対する意識を高めてもらうという教育目的も大きい」としているのだ。将来、情報管理者になる学生が多い同大ならではの考え方なのだ。また「用途やアクセスする情報の重要度に合わせてレベルを切り分けていくことが重要」とし、すべての情報をこのシステムで管理するわけではなさそうなのだ。

先日、東京工科大学が三菱商事や三菱電機、NTT東日本と生体認証技術を活用した「未来型キャンパス」を研究する事業連合を設立したように、個人情報保護の波は大学にも確実に押し寄せているのだ。工業の分野で先端を担う同大での生体認証導入が、全国の大学での採用の端緒となるのか、注目なのだ。

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