HDDレコーダーのCMスキップによる「損失」は540億円。

2005/05/31 21:28 Written by コ○助

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ここ数年で一気にHDDレコーダーが普及したことで、最近話題になることが多いCMスキップ問題。昨今のHDDレコーダーに搭載されている「CMスキップ機能」が従来のテレビ放送を支えてきたCMモデルを崩壊させる、というのが広告主やテレビ局の主張なりよ。そのため日本民間放送連盟の日枝久会長からは「CMスキップ機能」について「著作権法違反の可能性がある」と強硬な発言も飛び出しているなりが、著作権違反かどうかはともかくとして、ビデオよりもテレビ番組の録画・再生がしやすいHDDレコーダーの普及によって、テレビ番組を後から見るというスタイルが確立され、そこに「CMスキップ機能」が加わったとしたら、テレビの広告モデルが成り立たないということは容易に想像できるなり。

実際のところHDDレコーダーでテレビ番組を視聴する人たちが、番組の合間に流れるCMを見ているのかどうか、その実態を調査した結果が野村総合研究所から発表されたなりよ。なかなか興味深い内容だったので、簡単に調査結果を見ておくと。

・テレビCMのスキップ率(野村総合研究所調べ
23.4% 「すべてのCMをスキップする」
33.0% 「80%以上〜100%未満のCMをスキップする」
10.4% 「60%以上〜80%未満のCMをスキップする」
06.0% 「40%以上〜60%未満のCMをスキップする」
03.0% 「20%以上〜40%未満のCMをスキップする」
01.3% 「1%以上〜20%未満のCMをスキップする」
23.1% 「CMスキップはしていない」

というわけで、HDDレコーダー利用者の6割以上がCMを60%以上飛ばしてテレビ番組を視聴していることが分かったなりね。かく言うコ○助も、残念ながら「すべてのCMをスキップする」なりよ。だいたい普段テレビ番組が放送されている時間にだらだらと見る時間が無いからHDDレコーダーを利用するわけで。少しでも視聴時間を短くしようと思えば、自然とCMを見る余裕は無くなってしまうなりよね。ちなみに、この「CMスキップ」によって企業の2005年におけるテレビ広告費の約2.6%が無意味となり、その損失総額は約540億円に上るとの試算も出ているなりよ。もちろん、今後もHDDレコーダーが普及していけば、この数字はもっと上がることになるなりね。

昨年12月に掲載されたASAHIパソコンの記事によれば、HDDレコーダーの「CMスキップ機能」自体が著作権を侵害しているとは言い難く、逆にこの機能が著作権違反だとすれば「著作権法が利用者にCMを見ることを強制することになり、むしろ憲法上の人権侵害となる疑いがある」と見る弁護士もいるようなりよ。結局日枝会長の発言は、CMに依存したビジネスモデルが崩れていく中で、手の打ちようが無いテレビ局側の焦りの現れだとも言えそうなりか。

そもそも、テレビ番組を録画して後から見るというスタイル自体は、ビデオの時代からずっとあったもの。ビデオ利用者だってCMを垂れ流しにして見ていた人は少ないだろうし、今、HDDレコーダーを「広告モデルを崩す悪しき家電」として槍玉に挙げるのはナンセンスなりよね。新しい広告のカタチを開発してこなかったテレビ局の怠慢を棚に上げて、何でもかんでも「著作権」をタテに強硬な姿勢を貫こうとするのは視聴者の不信を買うだけ。誰もテレビが不要だとは思っていないし、それが広告で成り立っていることを理解しているのは確かなので、テレビ局にはもっと視聴者の興味を喚起し、関心を持たせるような広告の開発に取り組んで欲しいものなり。

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