オーストラリアの岩ガキに謎の寄生虫。

2005/05/10 08:28 Written by コジマ

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「“R”の付かない月には食べるな」といわれている冬がシーズンのマガキとは逆に、これからが旬の岩ガキ。マガキに比べて巨大かつ濃厚な岩ガキは、カキジャンキー(だった)のコ○助に負けず劣らずカキ好きのぼくを夏に満足させてくれる貴重な食材のだ。その岩ガキの一種、オーストラリアの東海岸で捕れる「シドニー・ロック・オイスター」が相次いで餓死し、絶滅が懸念されはじめているというのだ。

岩ガキといえば、日本では青森県から新潟県の日本海側、特に秋田県の象潟(きさかた)産が有名だけど、オーストラリアの東海岸固有種であるシドニー・ロック・オイスターも、小振りなものの象潟産に負けず劣らずの濃厚さでたいへん美味で、ぼくも大ファンなのだ。ロイターによると、「一部には催淫作用があるとする説もある」そう。そのシドニー・ロック・オイスターが、絶滅が危惧されるほど次々に“餓死”してるというのは、「QX」と名付けられた謎の寄生虫が原因だそうなのだ。

このQXに寄生されたカキは、内臓を破壊されて飢餓状態になるとのこと。致死率はほぼ100%で、オーストラリアの三大産地・ホークスベリーのオイスター・ファーム(養殖場)では、全個体から陽性反応が出ているそうで、これはかなりの非常事態なのだ。

ロイターの記事は、今後の見通しや対策、人体への影響などを記していないけれど、原因である寄生虫QXが「謎」といわれてるだけあって、対策の立てようがないのが現実なのかもしれない(ちなみに、基礎医学で寄生虫学のことを「QX」というので、この辺から名付けられたのかも)。国産より小振りなものの、シドニー・ロック・オイスターが食用の大きさになるまで4年かかる(象潟産は5〜7年)というので、もし寄生虫を駆除できても出荷できるのは相当先になっちゃうのだ。消費者としては、岩ガキはシドニー・ロック・オイスターがすべてではないのだけれど、オーストラリアの主要産物なので、経済的な打撃は計り知れないのだ。

このほかにも、マガキへの影響や他の国で確認されているのかなどの疑問がわいてくる。カキ好きにとっては一大事なのだ。レバ刺しへの相次ぐ警告といい、生食愛好家は窮地に立たされているのだ。先週、銚子産の岩ガキをたらふく食べてしまったんだよなあ…、と、ちょっと心配になったりして。

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