家出したご主人、性別を変えて家族の元に戻る。

2005/05/06 11:12 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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インドでは子供の誕生や婚礼などの祝い事があると、女装した男性がやってきて歌や踊りで祝福する文化があります。これは「ヒジュラ」と呼ばれる人達で、その歴史はとても長いそうです。元々ウルドゥー語で「半陰陽、アンドロギニュス」を意味する彼らは、古来よりカースト制の厳しい階級社会で独自の身分を持ち、芸能の他にいろいろな儀式を担うシャーマン的な役割も担ってきました。特にインド北部では神様に使えるヒジュラもいるそうで、宗教的な存在として欠かせないのだとか。

半陰陽ということは、女性と男性を併せ持った人々なのか?と思われますが、実際には自分は「ヒジュラ」だと自覚した男性が去勢手術を受けてなるんだそう。普段から女性の格好をしている場合もあるそうですが、儀式の際には決まりとして絶対女装しなければならず、長い髪にさまざまなアクセサリー、念入りな化粧で仕事をこなすのだとか。

ちなみに彼らは自分たちの家族と暮らすことはなく、10人程度からなるヒジュラのみの共同体があって、そこで生活をしているんだそうです。

さてそのインド北部にお住まいのナビュラーさん。彼(彼女?)もヒジュラとして歌と踊りで生計を立てております。とはいってもナビュラーさんはまだまだ新米のヒジュラです。なぜなら数年前まで彼は普通の弾性として生活しており、去勢手術を施したのもつい最近のこと。

実は彼(彼女?)には、奥さんとまだ幼い子供がいたのです。それが2年前に夫婦喧嘩が原因でご主人の方が家を飛び出してしまったのだとか。家出をしたは良いけれど、無職のナビュラーさん。

「元から踊るのも歌うのも大好きだったんだけど、『男性』である自分の体にその欲求が押さえ込まれていたのよねぇ」(注意:オネエ言葉なのは、ウォール真木の勝手な翻訳です……)

とのことで、ここぞとばかりにキャリア・チェンジ。その後家に戻らぬまま新しい人生を歩んでいました。

ところが最近になって、なぜか自分の家族の元に戻ることにしたナビュラーさん。2年間ほったらかしだった彼らが恋しくなったのでしょうか。なんと女装のまま玄関の前に2年ぶりに現われたのです。奥さんのシャーマさんはご主人の変わり果てた姿にもちろん大変驚きました。実際、気を失ってしまったそうで。

その後ショックから立ち直った奥さんは、今は離婚を考え中。ヒジュラと生活を共にする気は無いし、世間の恥を背負ってまで生きていきたくない、と語っているとか……。

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