育児放棄されたトラの赤ちゃん、人間の母乳で育てる。

2005/04/23 12:26 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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ミャンマーのヤンゴン動物園に住むトラのノア・ノア。2001年にタイから贈られたうちの1頭です。彼女は先月に3匹の赤ちゃんを出産。今、絶滅の危機にいるベンガルタイガーの子供たちが何匹も産まれたとして、動物園も大喜びでした。なんでも開園16年目にして初めての事だったんだとか。

ところがこのノア・ノア母さん。子育てには興味ゼロだったらしく、残念なことに自ら産んだ赤ちゃん1匹を殺してしまいました。残りの2匹の命も危ぶまれたため、飼育人たちが急遽、母と子を離して育てることに。

生き残ったオス、メスそれぞれの赤ちゃんはその時生後2週間。まだまだ固形物は食べられず、お乳で育てなくてはなりませんでした。ところが、哺乳ビンで食事をさせようとしてもどうも上手くいかない。

そこで園の関係者の親戚にちょうど乳児のいる女性がいたのを思い出し、なんと彼女を呼んできて授乳をさせてみました。するとトラの赤ちゃんたちは大喜びで吸いついたとかで……。その結果、この女性は1日に3回動物園を訪れては、45分ほどの授乳タイムをすることになりました。

この女性は今月いっぱいはこの授乳を続けるそうです。しかしその前に赤ちゃんトラに歯が生えてきたら、その時点で卒乳にするつもり。そりゃ、怖いです。歯といっても、トラの場合は牙ですから……。

それにしても哺乳動物の乳は、その種によって成分が違うといいます。例えばクジラやオットセイ、ホッキョクグマなどは、皮下脂肪を沢山必要とします。なので、彼らの母乳も脂肪分が30%もある成分なんだそうです。30%というと、生クリームよりちょっと薄い程度ですか。とっても濃厚ですね……。比べてヒトの乳は、哺乳動物の間では最もたんぱく質が少ない種類。その代わり糖質は逆にとても多いのです。ロー・カーブなダイエットには向いてませんねぇ(ちょっと違う)。

そんなに動物の種類によって成分が違うのですから、トラの赤ちゃんには適した栄養が与えられるのでしょうか?その辺りがちょっと疑問ですね。まあ今のところ、トラ赤ちゃんたちは元気に育ってくれているようなので、心配無用ということにしておきましょう。

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