親から与えられた名前。日本の法律では結婚時に苗字が変えられる程度で、その他の理由で氏名変更を法的に行うことはとても難しいそう。でも海の向こうアメリカではこれが実に簡単に行えるのです。
まず日本では、名の変更は「正当な理由」がない限り不可能。その「正当な理由」というのが、
・営業上の目的から襲名する必要がある場合
(例えば、落語家や歌舞伎役者……?)
・同姓同名者があって社会生活上甚だしく支障のあること
(芸能人と一緒だから、などでしょうか?)
・神官若しくは僧侶となり、又は神官若しくは僧侶をやめるために改名する必要のあること
(確かに「僧侶」に特有の名前ってありますし)
・珍奇な名、外国人にまぎらわしい名、又は難解、難読の文字を用いた名で社会生活上甚だしく支障のあること
(例:「ウォール真木」)
・帰化した者で、日本風の名に改める必要のあること
(そういえば、元横綱の曙も帰化したなぁ)
・異性と紛らわしい名
(例:「ウォール真木」)
・永年使用の通名、芸名、雅号、ペンネームなど
(ってことは「コ○助」君も将来、正式な名前に出来るってこと……?)
といった事例なんだそうです。これが申請者のケースに該当すると家庭裁判所から認められた場合のみ、役所に届け出をして変更が可能になるのです。なので、ある日突然思い立って自分の名前を変えようとしても、どだい無理なんですね。
ところがアメリカでは、
・借金逃れなど、詐欺目的がある
・同姓同名の他人(著名人など)の権利を侵害する恐れがある
といった違法性がなければ、簡単に氏名変更が出来ます。簡易裁判所で変更証明書を貰えば、それでOK。それを提示して銀行口座、運転免許書などの氏名を新しくすれば良いだけです。
ちなみに品のない氏名であったり、自分の子供の名前を親が変える場合は、子供の生活に支障がないかどうかなど、裁判所の判断が必要なケースもあるようですが、まあ日本に比べれば断然簡単です。
こんな背景なので、アメリカでは比較的日常的に行われている個人の氏名変更。でも近い将来自分の名前の一部を新しくしようと考えている、ユタ州にお住まいのマシュー・J・ラウズさんの場合は、ちょっと事情が変わっています。なんと彼は、インターネット・オークションで赤の他人に「自分のミドルネームを好きに変える」権利を競売に出してしまったのです。この権利、実際に8,000ドル(約87万円)落札されてしまったというからさらなる驚き。
マシューさんのミドルネームは「ジーン」と言い、これは彼の祖父の名前を引き継いだもの。ところがマシューさんとこのおじいさんの仲が良くなかったそうで……。これが動機で名前を変えるというのは理解出来ますが、なぜ他人に変えさせるというのかマシューさん(笑)。しかも名前変更の暁には、堂々とその名前を使用する!と断言までしています。どうするのさ、変な名前だったら!?
ちなみにマシューさんの家族の反応はさまざまで、お兄さんはせっかく引き継いだ家族の名前を捨てるのはけしからん!とばかりに、自身でもオークションに入札。その権利を使って、そのまま、また「ジーン」と命名するつもりだったらしいのですが、残念ながら落札は出来なかったそう。
マシューさんの奥さんはといえば、もうちょっと冷ややかな目でご主人を見ているようで……。もし誰かが "poophead"( "poop" は赤ちゃん言葉で「う○ち」のこと。一般に "poophead" は「ノータリン」とかいう意味)なんて名前付けたとしたら、少しはマシューさんへの戒めになるだろう、と考えているそうです。
どんな名前になるのかは、こうご期待!ってことですかね。