分娩に急ぐ産婦人科医にスピード違反だと手錠。

2005/03/30 10:52 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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アメリカで2度、出産したことのあるウォール真木ですが、こちらの経験を日本の友人に話すと、その事情の違いにずいぶんと驚かれます。

まず出産の際の入院期間が短い。普通分娩で生まれた時から丸2日、帝王切開では丸4日間経つと、もう母子共に病院から退院させられます(笑)。知ってはいたのですが、さすがに長女を産んで2日後、病院から車椅子に乗ったまま追い出される瞬間に、

「お願いっ。見捨てないでぇぇぇぇぇ(涙)!!」

と看護婦さんの手を掴んだのはいうまでもありません。だって、母になったばかりでふにゃふにゃの赤ちゃんを胸に、不安一杯だったですから。

その他にも日本と違うところといえば、産婦人科のお医者さんは普通、個人クリニックに分娩および入院のための施設を持っていません。なので妊婦さんは出産までは産婦人科のクリニックで診察を受け、実際に赤ちゃんが生まれる時は総合病院(大きな町では数個の病院から自分の好きな場所を選べます)に行って、そこで担当の産婦人科医と落ち合って、出産……という運びになるのです。お医者さんの方も、患者さんの分娩毎にいろいろ違う病院まで車を走らせなければいけないので、面倒といえば面倒ですね。

フロリダにお住まいの産婦人科医、アントニー・シディアック氏もある日、出産直前の妊婦さんの元に駆けつけるため、オートバイを飛ばしていました。ところが急いでいたのも無理はないのですが、スピード違反でパトカーに止められてしまったのです。

シディアック氏は、自分は医師でこれから分娩に立ち会わなきゃならないんだ、と説明したのですが、ポリスマンはその話を信じず。さらたった10マイル(16キロ)オーバーだというのに手錠まではめてしまったのだとか……。シディアック氏がふざけてそんな説明をしたのかと思って、怒っちゃったんでしょうか?

ちなみにミズーリでは25マイル(40キロ)オーバー以上でないと逮捕されません。州ごとに法律は違うとはいえ、たぶんフロリダも似たような決まりのはず。10マイルそこそこで捕まることはまずありませんし、捕まったとしても、違反チケットだけで手錠なんて厳しい対応はありえません。

実際この警官の行動は行き過ぎだと認められ、彼には16日間の謹慎という厳重処分が課されました。

ちなみにシディアック医師ですが、手錠を外され解放された15分後に、無事病院に到着。元気な赤ちゃんを取りあげたそうです。

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