堤義明オーナーが辞任を発表し、日本シリーズを前に激震が走る西武なりが、辞任発表の際に「パ・リーグが成り立たなくなり倒産状態になった」「体力のある会社が経営メリットがあると思えば（球団を）持っていることもできるだろう。（だが）経営努力では補えない部分もある。あとは新社長（西武鉄道・小柳社長）がどうするかですが、新社長はドライだからどうなるか分かりません」と語ったことから、球団の身売りも選択肢として入っていることを示唆。球界再編論議の中でも西武はロッテとの合併を進めていたとの情報もあり、球団を手放す可能性が依然として残されているかのような口ぶりだったなりね。

そこに浮上して来た名前がテレビ朝日。日本テレビ（読売新聞）が巨人、TBSが横浜、フジテレビ（サンケイグループ）がヤクルトと主要テレビ局が球団を保有、もしくは株主となっている中、テレビ朝日は特定の球団との密接な繋がりはない状況のため、パ・リーグとはいえ在京の人気球団である西武に興味を示しているというなり。球界再編論議の中で来季からのセ・パ交流戦の実施が決定したことで、映像ソフトとして西武戦中継の魅力が増したのも大きなポイントなりね。

ファンにしてみれば身売り話はいつ聞いても嫌な話なりが、売却先が下手な企業でなく、テレビ朝日のようなメディア企業なら多少は安心なりよね。変な企業名がチーム名に付くことも無いだろうし、TBSが保有する横浜のように、ひょっとすると地域名を冠に付けた地域密着型の球団に生まれ変わるかも知れないし。何よりも、メディアで取り上げられる機会がどんどん増えるのは、ファンにとっては嬉しいことなのではないかと。

ちなみに、西武が1978年にクラウンライターを買収してライオンズが誕生したのは「東武が日光、小田急が箱根、京成が成田山と観光地を持っているのに西武だけないので観光地を作ろう」という理由だったのだとか。そのため、あくまでも西武の球団保有に関する判断を下すのは西武鉄道の小柳社長ということのようなので、表舞台から退くことになった堤オーナーよりも、今後は小柳社長の言動に注目が集まりそうなりね。

しかし、「観光地」というのが今なお球団保有の理由だとすれば、実際にテレビ朝日へ身売りしたとしても本拠地を移転するということも無いだろうし、それほどデメリットは無いのかも……と、思ってしまうなりが、どうなりかね。新規参入を狙う楽天とライブドア、来季以降の存続が危ぶまれるダイエー、身売り話浮上の西武。今オフはまだまだパ・リーグが慌ただしく動きそうなり。