NHLの元選手が、殺し屋を雇い代理人を殺害計画。

2004/07/18 23:22 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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セントルイスでは何ヶ月も前から話題になっていたスキャンダル、というか事件のひとつに新展開が…。

NHLとはご存知の方も多いと思いますが、プロ・アイスホッケーのこと。メジャーリーグ(野球)、バスケットボール、アメリカン・フットボールと並ぶ、アメリカでは人気のプロスポーツのひとつです。

もちろんこれらプロ・チームのある地元では、試合は最大の娯楽であり、選手達にいたっては子供からも大人からも慕われるヒーロー達です。さらに人々に堅実でコンサバな気質が根強く残っているアメリカ中西部(セントルイスのある所)では、スポーツ選手などの有名人には地元の子供達の「ロール・モデル(子供達が尊敬して目標とする人)」としての役割も期待しているようです。

選手達もそのことをわきまえて、試合の無い日もチャリティーのボランティア活動をしたり、あんまり派手な私生活をさらさずにいたり…といろいろ気を使っているようです。

で、こんなセントルイスで起こった事件。

地元チーム『セントルイス・ブルース』の選手の一人マイク・ダントンが『ヒットマン』を雇い、その殺し屋に自分の代理人を殺害させようとしたのです。ダントン被告がガールフレンドに殺人の計画を相談、ガールフレンドがさらに第三者にその話を持ちかけて、その第三者の情報提供で今回の殺人計画が警察の知るところとなり、逮捕。4月のことでした。

それから3ヶ月。この度ダントン被告が裁判の直前、自分の容疑を認めたそうで。こうすることで罪の軽減を狙ったとのことですが、それでも最大10年の収監が待っています。

ところで彼が逮捕されたのは、NHLのプレイオフに進出したブルースがカルフォルニアで敗戦し、そのシーズンを終えた直後のことでした。もちろんセントルイス市民にはその容疑の異様さは衝撃的。

しかもその後ダントン被告と、殺人のターゲットとなった代理人ディビッド・フロスト氏との特異な関係、そしてダントン被告とその家族との問題などが浮上して、さらにスキャンダル性が増してきたのです。

23才のダントン被告はなんと14才の時に、家出同然でフロスト氏と一緒に生活を始め、その後は実の家族とはまったく連絡を取らなくなってしまったそうです。フロスト氏はそのカリスマ的な影響力で、若いホッケー選手をたくさん育ててきたそうですが、その子供達に対する「洗脳的な影響力」が一部の親からは問題視されていたそうで…。実際、彼と知り合ってから親の元から離れてしまった少年達も多かったそうです。

さらに、自分が殺されそうになったというのにフロスト氏はダントン被告に逮捕直前に連絡を取り、警察の捜査への対応をあれこれ彼に指示していたとか…。何なんだ、一体?

何はともあれ、ダントン被告にとっては14才の時から父親同然だったフロスト氏。何が被告の今回の『殺害計画』につながったのか…それも今回の裁判の焦点でした。しかしダントン被告が今回有罪を認めたために、今後それが明らかになることもなさそうです。すべては霧の中。

ダントン被告は10月に判決を受けて、どのくらいの期間刑務所に服役するのかが決まります。可能性としては彼の出身地であるカナダの刑務所が彼のこれからの生活の地となるそうです。逮捕されてから、家族からの面会を拒絶しているダントン被告ですが、親元ちかくで刑務所暮らしをしつつ少しずつ家族との関係修復をしてほしいなぁ、なんて個人的希望なんですが。

ちなみに、この事件でダントン被告の殺害計画の補助をしたという容疑で逮捕された19才のガールフレンド。彼女の裁判はまだ始まっておらず、この裁判にダントン被告自身が証人として出頭する可能性もあります。そこで新たな事実が判明するのか…これが今後の注目ですね。

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