結婚式、誓いの言葉を外国語で言ったら…。

2004/06/08 11:38 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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他国との文化摩擦は、どこの国にもある問題ですが、今回のお話はルーマニアでのお話。

ハンガリー系ルーマニア人で、フランスの国籍をも持つアンドレイ・ドンビさんと、その花嫁のアンカ・ダイアナ・トマさん。最近ルーマニア国内で結婚式を挙げ、晴れて夫婦になるはずだったのですが…。

ヨーロッパ諸国では教会で結婚式を挙げる他に、市町村の役所で婚姻の儀式を行う『シビル(民事)・セレモニー』があります。アンドレイさん達が選んだのは、後者の方でした。

さて役所にて結婚手続きの責任者、教会で言うところの神父さん役のヴァサイル・ゲーマン氏の前に立ち、厳粛な雰囲気の中で式が進行しています。ゲーマン氏が

「アナタハ〜、コノ アンカサンヲ〜、ツマトシテ イッショウ アイシツヅケルコトヲ〜 チカイマスカァ〜(ルーマニア語で)」

と問うた時、アンドレイさんはYESの意味の言葉を三ヶ国語で

「イゲン、ダー、ウイ〜」

と答えたそうな。ちなみに左からハンガリー語、ルーマニア語、そしてフランス語です。彼いわく

「元々ハンガリー人で、ハンガリーとフランスの市民権がある自分が、三ヶ国語で大切な結婚の誓いを立てるのは当たり前のこと」

だったそうです。自分のルーツやアイデンテティを大切にする人なら、それも当たり前な行動です。なのに、それになんと怒ってしまったのがゲーマン氏。

「ルーマニアの法律にのっとって結婚するのに、意味のわからん外国語で答えるとは何事じゃぁ!?」

と、その場で式を中断。呆然とするアンドレイさんとアンカさんを残して退場しちゃったとか…。夫婦にもなれず、困惑する2人。

さてどうやら、ゲーマン氏の本心はハンガリー語での誓いの言葉が、ルーマニア語より先に言われたのが気に入らなかったらしいです。実際過去にも、ハンガリー・ルーマニアの両国語で誓いの言葉を言ったカップルを結婚させず、罰金まで支払った彼。そうとうのアンチ・ハンガリー人らしいのです。

人口の20%がエスニックな移民が締めるこの国、反ハンガリーな文化が今も根強く、はびこっているらしいのですが、そんなカルチャーが今回の事件の背景にあるのかもしれませんね。

ちなみに、新郎新婦はその後役所側に抗議。ゲーマン氏は減給などの処分にあう可能盛大だそう。

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